【インタビュー】高杉真宙、最新作で学生時代振り返る「記憶、塗り替えたい」
映画、テレビドラマ、CM、舞台とさまざまなフィールドで活躍中の高杉真宙。特に映画は、昨年から今年にかけ公開予定も含め10本以上の作品に出演するという人気ぶり。そんな彼が今月公開の映画『世界でいちばん長い写真』について、また理想の役者像などを語る。
少年から大人の男まで幅広い役を演じる若手実力派俳優の高杉。今月公開の映画『世界でいちばん長い写真』では、引っ込み思案の高校生を演じる。中学生の時から仕事をしていた彼はどんな青春時代を過ごしたのか。
「自分の中ではちゃんと青春時代を過ごしてきたかなと思っています。文化祭だったり、体育祭だったり、修学旅行だったり。学生らしいことは全部やらせてもらったので、エンジョイしてました。ただ、今回卒業してから学生服を着て青春できたのは、思いのほか楽しかったです。疑似体験をしたような…。でも、意外と自分の学校生活が地味だったので、映画の中の高校生活のほうが華やかなぐらい(笑)。だから青春時代の思い出を、この映画の学生生活の記憶に塗り替えたいぐらい楽しませていただいたなという気持ちです」
学校のシーンは、本当の同級生のようなほっこりした空気感が漂う。
「まず、共演者が皆すごく仲良くなれた。撮影は知多半島で行われ、ほぼオールロケだったので、キャストが同じホテルに滞在していたんです。そこにはちょっとした会話をするスペースがあったんですけど、撮影が終わるとなんとなくみんなそこに集まって、コミュニケーションを取っていました。映画の中で仲が良く見えるようにとかではなく、ほんと自然な感じで打ち解けたので、その雰囲気が学校や部活の場面でも生かされたかなと思います。また、学校の友人たちは結構キャラが濃く、それが僕の演じる宏伸を作ってくれたのかなと。周りが個性的なので、宏伸が普通でいられました」
映像も美しく登場人物たちのピュアで一途な演技も清々しい。
「悪い人が一人も出てこないですし、恋愛要素もほとんどない。高校生が主役の映画としては、最近珍しいかも知れませんが、それによって単純にさわやかな青春映画になったと思います。一緒のシーンが多かった従妹の温子役の武田(梨奈)さんは、すごくかっこいい姉貴。サバサバして気持ちのいい感じは、実際の武田さんとも通じるものがあると思います。温子ほど荒っぽくはないですが(笑)。小松政男さんは、僕とのからみはなかったんですけど、武田さんとの会話を見ていると、どこからどこまでがアドリブなのかちょっと分からなくなるぐらいハチャメチャで、パンチの効いたスパイスのよう(笑)。ベテランのすごさを見せていただきました。また、ロケ地はどこも素敵な場所ばかりで、そんな映像を見ているだけでも、いやされます。もともと高校の写真部の男の子が美しい写真を撮りたいという思いで選んだ一面のひまわり畑や最初のほうの高台は、とてもきれいで感動しました。印象的なシーンとしてはやっぱり最後のシーンですね。あのシーンで見た景色はずっと忘れられないんじゃないかな。実際に舞台となった高校に通っている生徒さんも大勢参加してくれて、丸2日かけて撮影しました。本当に大掛かりで、だいぶ熱く思い出深い夏を過ごせました」
高校生が見たらキュンとしそうな青春映画だ。
「現役の高校生にも見ていただきたいけど、かつて高校生だった大人の方にもぜひ見ていただきたいです。誰もが経験するストーリーではありませんが、誰しもが自分の高校時代を振り返って、懐かしく感じる作品だと思います。友達と河原で喋っているだけの風景とか、そんな日常の場面でも、何かよみがえってくるものがあると思います。また高校生の人も、今自分がいる場所が、すごく素敵なんだと感じてもらえると思う。とにかく、今青春真っ最中の人も、遠い昔に青春時代を過ごした人にも、楽しんでいただける作品だと思います」
現在21歳。まだまだ高校生の役もできそうだが。
「最近少しずつ大人の役もいただけるようになってきました。でも、だからこそできる限りは学生の役はやっていきたいです。もちろんこのまま年相応の役もやりつつですけど。役者としては、どんな役というより、また一緒に仕事がしたいなと思っていただける役者になりたい。仕事もそうですが、人間的にも僕と一緒に仕事をしたいと思っていただければうれしいです。僕自身、演技をする時間も好きですが、役を作っていく時間がすごく好きなんです。家でいろいろ考えて、悩んでいる時間が好きなので、何をやっていても、その時取り組んでいる役の事は常に頭の隅にあります。演じるにあたり、役にとことん向き合う時間こそが必要だと思いますし、そういう意味でも、いくつかの作品を平行して撮るのは実は苦手。一つの役に没頭しちゃうので、ほかの役のセリフが入ってこない。そこはうまく調整していただいてますので、とてもありがたいです」
役者という仕事の魅力は?
「うーん…分からないけど…自分自身としては、単純に楽しいからやっているという感じです。何が楽しいというのもうまく言えないんですけど…。ただ一つ、役者の仕事って、自分の中にゴールがない。ゴールというか、これでいいというものがないんです。逆にこれでいいと満足すると、そこで成長が止まってしまう。だから、ゴールがないっていうところが、楽しいのかなと。目的が達成されるとつまらなくなってすぐに辞めちゃう気がするので、そこは自分でゴールを決めないでやっていきたいし、ずっと成長し続けていきたい。それが魅力で役者を続けているんだと思います」
今年もまだまだ主演、出演作品が続く。
「今回の映画では普通の高校生でしたが、今後公開される映画では、複雑な生い立ちから犯罪者になった悪い奴や、泣ける純愛アニメの声優など、がらりと違う役で、スクリーンやドラマに登場します。そういう意味では、今まで見せたことのないようないろいろな顔をお見せできると思いますので、ぜひ注目して下さい」
(TOKYO HEADLINE・水野陽子)
6月23日(土)シネ・リーブル池袋・イオンシネマ全国順次ロードショー
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