尾上右近、初めての現代劇が開幕控え「精神的にはオーバードーズ」
尾上右近が初めて現代劇に挑戦する舞台『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』(6日開幕)の公開最終リハーサルが5日、新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで行われ、終了後、尾上らキャストが取材に対応した。
最終リハーサルを終えた感想を聞かれた尾上は、「僕個人としては初めての現代劇。ゲネプロという経験もほとんど初めてで、厳しい空気を感じながら、緊張といろんな意識といろんなことが混ざって……。今日はとにかく正気の沙汰ではなく、精神状態としては“オーバードーズ”という状態」と、自分の役どころに寄せてコメント。そのうえで、「お稽古して、みんなで作り上げたことを守りながら、自分の感情というものものせて、踏み出してみようという気持ちで明日(初日)を迎えたい」と、意気込んだ。尾上は、幼少時代に実母からネグレクトを受けて育ったトラウマがあり、戦争がきっかけで薬物依存症になった過去を持つ青年を演じる。
母親を演じる篠井英介は「演劇ならではの女形でございます。右近さんも歌舞伎で女形をやってらっしゃって、舞台ではね、みなさん想像力をかき立てていただいて、私おっさんなのに女役をやっています」と、あいさつ。
尾上は「初めての現代劇なので、お母様役が女形の英介さんであることは安心材料。ギスギスした関係なんですけど、そういう想いを抵抗なく思いっきりぶつけられるのは(篠井さんが)女形であることが大きい。そこは胸を借りてぶつけたい」と、話した。
取材中「いっぱいいっぱい」な状況を吐露した尾上。初めての現代劇で苦労したことを聞かれると「存在すること」と、スパッと一言。改めて説明を求められると「歌舞伎というものは型に守られていて、初役だとしても、誰か先輩に教わると、その型に守られて存在することができる、その気持ちになっているように見せることができる型があるわけですけれども、(現代劇では)それがまったくない。お稽古しながら、(演出の)G2さんしかり共演者のみなさんと擦り合わせて、自分の想いもぶつけながら型を作っていかなければならないという逆流の作業。そこが一番難しいですね。まだ未完成だし、大阪の大千秋楽までに作り上げていきたいと思います」と、話した。
本作は2012年にピューリッツアー賞を受賞した物語の日本版。ヴァーチャルな空間で出会った、さまざまな問題を抱えた人たちが、サイトを通じて心を通わせながら、それぞれが自分の人生を取り戻していく、愛と希望の物語。
他共演に、南沢奈央、葛山信吾、鈴木壮麻、村川絵梨、陰山泰。
6日に開幕し、22日まで同所で上演。大阪公演もある。