ナゾなのに「なんか分かる!」話題の展覧会&映画で「縄文」にハマってみた!

日本で最も有名な遮光器土偶 青森県つがる市木造亀ヶ岡出土 縄文時代晩期 東京国立博物館

 縄文と聞いて思い浮かべるものといえば、竪穴式住居、火焔土器、遮光器土偶くらい…という人は多いのでは。1万年近く続いたにも関わらず、実はいまだに多くの謎に包まれている縄文時代。そんな縄文の知られざる魅力に迫る特別展 『縄文―1万年の美の鼓動』が上野の東京国立博物館で開催中。早くも大きな話題を呼んでいる。

火焔型土器・王冠型土器 縄文時代中期。今回は特別にケース外展示で鑑賞できる

 本展では、同館が所蔵する日本で最も有名な遮光器土偶をはじめ、約200点近い出土品を展示。しかも今回、国宝に指定されているわずか6件の縄文時代の出土品すべてが会期中に展示される(うち2点は7月31日からの展示)。土器や土偶など、縄文時代の美の表現が1万年という時のなかで移り変わっていく様子も、分かりやすく紹介。すでに縄文にハマっている人も、これからハマる人も見逃せない展覧会なのだ。

左端は縄文時代中期の「ポーズ土偶」。猫っぽい…

 多くの出土品があるとはいえ、まだまだ謎だらけの縄文時代。凝りに凝ったデザインの火焔土器が煮炊きにも使われていたり。どう見ても地球外生命体としか思えない土偶があったり。出産真っ最中、子供の頭が出てきた! という瞬間をモチーフにツボを作るセンスも、ちょっとよく分からない。有名な遮光器土偶にしても謎は尽きない。今でいうスノーゴーグルのような遮光器をつけているように見えるのでそう呼ばれています、と説明されても、本当にそんなものをつけた人を土偶のモデルにしたのか、単なるデフォルメなのか、やっぱり宇宙から…?と、さらに謎が増えるばかり。

ハマってしまうと展覧会オリジナルグッズも見逃せないものばかり。あめ細工吉原による遮光器土偶の飴(各850円)

 それでも火焔土器の迫力には説明不要で圧倒されるし、プリミティブなロマンが渦巻くバラエティー豊かな文様は見飽きることがない。人型から動物まで個性的なデザインの土偶たちは前衛アートや“ヘタウマ”アート感覚で楽しむこともできて、思わずフィギュアが欲しくなる。
「縄文」は、現代人にとって「謎」と「なんとなく分かる」の割合が絶妙な世界なのだ。

ドキュメンタリー映画『縄文にハマる人々』©2017rtapikcar,inc

 どんな人がどんなふうに縄文にハマっているのか、興味がわいたら現在公開中の映画『縄文にハマる人々』をお薦めしよう。縄文分野の専門家だけではなく、歴史オタクや芸術家、文化人などさまざまな人を取材し“ハマった理由”を探っていく。理由は実にさまざまだ。自由に自分の視点でハマることができる、それもまた懐の深い縄文文化の魅力に違いない。

特別展『縄文―1万年の美の鼓動』
【会期】2018年7月3日(火)〜9月2日(日) 【会場】東京国立博物館 平成館【時間】9時30分〜17時。金土は21時まで。日曜および7月16日(月・祝)は18時まで ※入館は閉館の30分前まで 【休】月曜、7月17日 ※ただし7月16日(月・祝)、8月13日(月)は開館【料金】一般1600円、大学生1200円、高校生900円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【URL】http://jomon-kodo.jp
『縄文にハマる人々』 監督:山岡信貴 ナレーション:コムアイ/1時間43分/リタピクチャル配給/渋谷イメージフォーラム他にて公開 http://www.jomon-hamaru.com/