過去と現在はつながっているということを感じさせる作品  燐光群『九月、東京の路上で』

 燐光群は作・演出を務める坂手洋二の社会性の強い作品の他にも、アメリカのヘイト・クライム殺人事件の取材をもとに作られた『ララミー・プロジェクト』(2001年)を皮切りに「報告劇」も多く翻訳上演してきた。

 今回はノンフィクション作家の加藤直樹氏が関東大震災を時系列で追って検証したルポルタージュを劇化。現代社会の状況と重ね合わせた「ドキュメンタリー・ドラマ」という新たな試みに挑戦する。

 2013年、ヘイトスピーチの怒号が飛び交う大久保の路上に立った男がその後、1923年の関東大震災で多くの外国人が殺害された現場をめぐり、そこであったことをブログという形で人々に伝えていった。観客はそれを元に出版された『九月、東京の路上で』を通して95年前の東京を「追体験」することになり、否が応でも過去の出来事がそこにとどまらず、現代へと続いていることを痛感することになる。

 原作の加藤氏をはじめ計10回のアフタートークが設けられた。興味深いゲストが揃っているので、こちらも合わせて楽しみたい。

燐光群『九月、東京の路上で』
【日程】7月21日(土)〜8月5日【会場】ザ・スズナリ(下北沢)
【料金】通常料金(7月28日以降)一般前売 3800 円(当日4300 円)、ペア前売 7000 円(2名)、グループ前売 3300 円(3名以上 一人あたり)、U25/大学・専門学校生 2000 円(当日2500 円)、高校生以下 1000 円(当日1500 円) ※前半割引あり(7月22〜27日)各300円引き。21日(プレビュー公演)は一律3000円
【問い合わせ】燐光群/(有)グッドフェローズ(TEL:03-3426-6294 [HP]http://rinkogun.com/)
【原作】加藤直樹「九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響」(ころから刊)【作・演出】坂手洋二
【出演】中山マリ、鴨川てんし、川中健次郎、猪熊恒和、大西孝洋、さとうこうじ、円城寺あや、咲田とばこ、杉山英之、武山尚史、樋尾麻衣子、田中結佳、山村秀勝、山本由奈、荻野貴継