暗闇の中、揺れる船の上で怪談を聞く「はとバス 講釈師と行く夜の怪談クルーズツアー」(2018年)
この日、講釈師の神田春陽が語ったのは、三遊亭圓朝作の「五勺酒」という何とも後味の悪い不気味な話。落語では「もう一杯」という演目でおなじみの噺だ。最初は周りも薄紅のぼんやりとした明るさだったのだが、クライマックスの一番ゾクゾクするところに差し掛かる時には、闇が周りを支配。下から照らされた講釈師の顔だけが浮かび上がり、ゾワゾワ度はMAX! どこにも逃げられないという状況がまたスリリングだ。まとわりつくような川からの湿った空気はよどみ、その不快な感じが怖さを倍増する。