『この世界の片隅に』片淵監督&のんが舞台あいさつ「コンビ、続けられている」

「はっきり言って公開初日よりもフォトセッションタイムが長かった(笑)」と、監督。「(公開して)600日経った映画にこんなふうにお客さんに来ていただけるのはもちろん、こんなにたくさんのカメラで……のんちゃんをね…(笑)すばらしいし、ありがたい」

 映画『この世界の片隅に』の再上映舞台あいさつが15日、テアトル新宿で行われ、主人公すずの声を担当したのんと、片渕須直監督が登壇した。

 客席は満員御礼。監督は「2016年11月公開の映画なんですけど、今日に至るまで640日を越えて、ずっと全国どこかの劇場で上映を続けていただいていて、一番最初に舞台挨拶をしたここ(テアトル新宿)に立たせていただいます。その時と同じ並びで2人で(笑)。まだそういうコンビで続けられているのがありがたいなと思います」。

 のんも「久しぶりにテアトル新宿にこられてうれしいです」と、笑顔を見せた。

 公開以降1日として途切れることなく上映が行われていることについて監督は「クラウドファンディングでたくさんの方々に支援をお願いしなければ作り始められないのではないかというところから始まった映画で、作っている途中も、でき上がってからもたくさんの方々がこの映画を応援してくださって、今日に至っていると思います。お客さんもマスコミの方も、何よりも劇場の方々とずっと仲良くさせていただいていて、自分たちにたくさんの場所をいただけているなと実感しています」

 のんも「うれしいことだなと思います。作品に参加して、こんなに長く作品と付き合っているのが初めてなので、とても貴重な体験。こんなにみなさんに愛されている作品は世界中のどこを見てもこの作品だけなんじゃないかと思います」。

なかなかいいコンビ

 第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦争が激化していくなかで、大切なものを失いながらも、前を向いて生きていく主人公すずと彼女に関わる人たちの日々を一日一日をていねいに描いたアニメーション映画。 

 舞台あいさつが行われたきょう15日は終戦記念日。

 監督は「映画を作っている途中、この映画をいつ上映するんだという時に、やっぱり8月の映画だよねという話をたくさんいただいたんですけど、そうかなって。8月だから戦争のことを思い出すのか、そうじゃないときは思い出さなくてもよいのかとか、8月以外にも戦争に関してのいろんなことがありましたし、すずさんの人生も8月だけのことじゃなくずっとずっと長い日の中を生きていた。敢えてそういうことを分かっていただける機会にもなるから、物語が冬に始まって冬に終わっている映画だからそういう季節に上映を始めたほうがいいのではないかと2016年の11月公開となりました。去年もそうなんですけど、この映画の上映がずっと続いているもものですから、8月に見ていただけると8月には原爆のことや終戦のこと、いろんなことがあって、映画をご覧になる方が自分の近い親戚の方やおじいさんおばあさんが、すずさんと同じころどういうことをされていたのかと重ねて思い出していただける機会が増えてきたみたいなんです。お盆というかね、いろんな方々の顔が思い出せる日として今日があって、そこにこの映画がある種の役目を担わせていただいているならうれしいなと思います」

「機会が与えられるのであれば、この映画を映画館で上映し続けたい」と監督。

「この映画の中ですずさんが生きているわけですが、すずさんだけでなくて、その周りにあるもの、山々、町、人々、空、飛んでいる鳥、飛んでくる飛行機とか。そういうものを映画のなかで一番良く表現できると思います。すずさんがどういうところにいたのかっていうのを映画館で一番よく味わっていただけると思うんです」

最後にお客さんの撮影タイム!もっと上映が続くように広めてね!

 先日、30分の新規シーンを書き足して『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』として12月に劇場公開されることが発表された。新しいシーンには、すずが出会った人たちのことを詳しく描くという。

 のんは先日公開された特報で再びすずを演じている。録音は自身の誕生日の前の日に行われたそうで、「期間が開いていたのでちょっと不安な気持ちがあったんですけど、ブースに入って何度かやっているうちに大丈夫だなって。手ごたえありました!」とのこと。これから行われるという新規シーンの録音も楽しみだ。

 のんは「また、たくさんの方々に見ていただけるチャンスかなと思っています。ぜひまた新しい『この世界の片隅に』を見に来ていただけたらと思います。お楽しみに」とPR した。