【いまライブで聴くべきバンド】新宿「NINE SPICES 」編
■硬派なオルタナバンド。でもちょっとシュール、バランス感が絶妙な「kumagusu(クマグス)」
NUMBER GIRLなどのオルタナティブミュージックをルーツに、ポストパンク的要素や、ノイズギターなど様々なインディー、アンダーグラウンドミュージックを取り入れつつ、はっぴいえんどなどのフォークソング的側面もあり、しっかり歌ものに昇華しているバンド。分かりやすくいうと、薄暗い場末の夜のネオンサインを彷彿とさせるような、「チャラさ」のない、アダルトな空気感があります。アングラなノイズミュージックの影響も受けていて、そういうジャンルって普段はあまり聴き慣れないような、音楽ジャンルの中でもよりコアなサブカルチャーなんだけど…kumagusuは歌モノとしての良さもあるので、こんなに聞きやすいノイズ感のあるバンドはそうそういない。かと思えば、ベースは絶対にライブではオールバックにキッチリジャージ、ギターボーカルはライブ中は年中下駄しか履かない、みたいな謎のスタンスを貫いてたりするんですけど。それがアンバランスなようで、一種「シュール」という意味ですごくバランスがいいパフォーマンスをする。そのメンバー同士のバランス感は、ライブでしか味わえない魅力ですね。
■不器用な貪欲さはライブでこそ真髄を発揮!平均年齢21歳の「Teenager Kick Ass(ティーンエイジャーキックアス)」
若いバンドは、総じてライブの方が見応えがあることが多い。まだ青くて不器用。とにかくこいつらは「やりたい」と思ってしまったことを「やらないわけにはいかない」んです。その欲求を、全部ライブにぶつけてくる。不器用だからこそ、ティーンエイジャーキックアスはいつも全力です。全力すぎてMCとかも「それ言ったら誰か怒っちゃうんじゃないの?」みたいなことを平気で言ってしまう。その辺りは、見ていて「こいつららしいな」と思う。彼らが生きてきた人生観みたいなものも感じることができますね。若いからこそできる、反骨心むき出しのライブパフォーマンスは、CDやSNSからは聞こえてこない、あいつらの本当の叫びだと思います。
■FUJI ROCKにも出演、各所ライブハウスで話題の「突然少年」
代々受け継がれて来たトラディッショナルな日本語オルタナティブロックバンド。でも、今各所ライブハウスで話題に上がり、今年はとうとうFUJI ROCKにまで出演した伸びしろバンドです。
まず、年間何百本もライブを見る現場の人間からして見ていても、突然少年のギターは天才的です。個人でギターサポートの依頼があったりするくらい、その実力は周囲からも認められていて、数年後にはギタリストとして大物になってるんじゃないか?というギターの生音や指元は、楽器を触る人にはぜひ生で見て欲しい。
それに、ボーカル。ボーカル茜一郎くんの魅力は、メンバー全員でライブのステージの上に立った時が一番伝わるんです。何ってまずすごい背丈が小さいんですよ、横周りも。他のメンバーはけっこう男らしい大きい体型なのに、真ん中に立つ彼は、「中学生か?」というくらい本当に小さい。でも、その小ささなんて感じさせない…体全部、のど全部使った、全力なライブパフォーマンスを見せてくれるんです。彼らの演奏が始まると、その空間はまるで青春映画の1ページのような雰囲気になる。でも、歌っていることはすごく普遍的なことで、そういうギャップとギャップの融合の中で、ギリギリのバランスを保っているのが突然少年の大きな魅力です。