「アメリカンドッグより煙草の似合う男になりたい」関 太
漫才・コントを自由に操り、コアなお笑いファンからも絶賛されている、賞レース常連のタイムマシーン3号。やせていないほうの関は、秋元康や六角精児のモノマネでも人気だ。そんな彼がネタ作りや芸人仲間とのコミュニケーションについて、また1日の区切りに欠かせないリラックス方法について語る。
タイムマシーン3号・関太(撮影・蔦野裕)
ネタ作りはコンビで
「NGなしで全部やってます」。最近の仕事について聞くと、そう答えた関。「秋元(康)先生のモノマネとして呼んでいただいたりする事も多いですし、いろいろとやらせていただいていますね。ネタはもちろんですが、リポーターもやりますし、ネット配信もしますし、地方にも行きますし、お声をかけていただいたら何でも。コンビとしてもピンとしても、とにかく全部。現在はコンビとピンは半々ぐらいの割合でしょうか。僕らは給料を折半にしてるんです。僕一人が行っても半分、相方が一人で行っても半分。どちらかがずっと忙しくて、もう一人が休んでばっかりっていう事でもめる事もないですし、コンビ仲は良いほうじゃないかな? たまに忙しさの格差が激しくてもめているコンビも見かけますけど(笑)、僕たちは大丈夫です」と笑う。
「僕らはネタも0から2人で作っています。大体どのコンビも、例えばボケの人が考えて、台本を作り相手に渡して練習するっていうパターンが多いんですけど。だから単純に考えて倍ぐらい時間がかかっているんです。意見が全然まとまらないので(笑)。普通のコンビの2倍発想して、2倍の時間をかけて完成させていきますから。だからほかのコンビよりよく会いますし、まあ、大変ですよ(笑)。毎回ね、“もうないな”って言うんですよ、もういっぱい作ってきたらか、さすがに出ないだろうって。っていうか、今までどうやって作ってきたんだろうとか言いながら(笑)。そうやってなんとかごまかし、ごまかしやってきた感じですね。芸歴18年だから、18年もネタ作りしていると、そうポンポンアイデアはわかないですよ。18年…こんな生産性のないものをよく作ってきたなー(笑)。だってねじ1個を組み立てて1銭なら分かりますけど、1日8時間ぐらい考えて、その時点では0円なんですから。何の達成感もない(笑)。単独ライブの前なんか、集中して作るので、毎回2〜3カ月の間に、ファミレスに30回以上行ってますもん。それでもアイデアが出ない日は出ない。5時間ぐらいお互いにただ座って、最後の1時間ぐらいはお互いの恋愛の話してるとかね(笑)。ほんと、今日1日何にもしなかったなっていう日もあるんですよ。ただ、やらない事には何も出ないので、とりあえず集まりますけど。コンビごとにやり方は違いますが、僕らみたいなやり方は珍しいかも知れないですね。結局ね、後ろ向きなんですよ、僕ら。どっちもさぼり魔なので、“お前やれよ”ってお互いがラクしようとして、結局どちらもやらないから、“しようがないから2人でやるか”っていう流れです。やる気のある人たちは、すぐに作りますから(笑)」
表現が制限されるジレンマ
「昔に比べて、テレビに関しては、表現に関する規制が増えたような気がしますね。例えば、車のコントをやるだけなのに、ちゃんとシートベルトのセットを作って締めなきゃならない。その部分って、ネタ的にはいらないんですよ。運転席に見立てて、止まっている椅子に座ってるだけなんだから(笑)。見ているほうもバカじゃないんだから、分かってますよ。それをテレビ局が忖度して自主規制しているのか、わざわざテレビ局に電話してきてクレームを入れる人がいるのかは分かりませんけど…。そういう人に向かってやっているのかと思うと、ちょっと…ね。しかも、それがダメなくせに、鉄砲が出るようなコントはオッケーとか、もうワケが分からない(笑)。僕は煙草を吸うんですけど、煙草を使った表現も厳しくなってきた気がします。『踊る大捜査線』も最初のころは、青島刑事は吸っていましたし、『こち亀』なんてお巡りさんが吸っていて、むちゃくちゃな事をやっていたのに、いつの間にか禁煙していた(笑)。マンガですらそうですからね。だから、カッコいい刑事コントをやる時も、煙草を吸う、携帯用灰皿をポケットから出す、それに吸い終わった煙草を入れて揉む、揉んで揉んでちゃんと消えているか確認する、ふたをしてポケットにしまい、さあ突撃だって(笑)。非常にテンポの悪いものになりますよね。でもあながち、そういう事をしなきゃいけない日がくるんじゃないでしょうかね」