ブル中野さんが中野区観光大使に就任。区長「中野をプロレスの街に」
初仕事で引退後初のプロレスイベントプロデュース。
元女子プロレスラーのブル中野さんが10月6日、中野区観光大使に就任。中野区の恒例行事「第10回中野にぎわいフェスタ」で任命式が行われた。
中野さんは中野区に自らオーナーを務めるバー「ガールズ婆バー中野のぶるちゃん」を2011年にオープン。最近ではJ:COM のコミュニティチャンネル「J:COM チャンネル中野」でトーク番組「中野人図鑑」のMCを務めるなど長く中野区民に親しまれて来た。
この日は中野駅前の中野セントラルパーク内特設リングで観光大使就任第1弾ともいえる「ブル中野&J:COM 中野 presents 中野人図鑑プロレス スペシャルマッチ」が開催された。
中野さんが引退後にプロレスの試合をプロデュースするのは今回が初めて。
中野さんはヌンチャク攻撃でがばいじいちゃんの勝利をアシスト
試合は「NORI vs がばいじいちゃん」「青野敬子、伊藤薫vs井上京子、Sareee」の2試合が行われた。
NORIはこれまで中野区観光大使としてさまざまな活動を続けてきたプロレスラー。がばいじいちゃんは明治生まれで100歳を超えるという老人キャラのレスラー。杖も体の一部とみなされ、持つことはもちろん、それを使っての攻撃も許されるという特殊な存在だ。
その入場時には放送席で解説を務めた中野さんも「年を聞くのを忘れてた…」とつぶやいた。
NORIがパンチを放つと「老人虐待だー」の声が飛び、じいちゃんが杖でNORIを叩くと歓声が起こるという異空間での試合となるが、やはり若いNORIが攻め込む場面が目立つ。ヒールに徹したNORIが場外乱闘に持ち込みパイプ椅子を振り上げると、放送席の中野さんがその椅子をつかみ、じいちゃんはすんでのところで命拾い。NORIの暴挙に現役時代の血が騒いだ中野さんはヌンチャクでNORIに制裁。試合はこの中野さんのアシストもあり、じいちゃんがシャイニングウィザードを決め、最後はコーナーからのダイブで3カウントを奪った。それまではほとんど動かなかったじいちゃんだったが、フィニッシュへ至る動きは長年のキャリア?を感じさせるものだった…。
かつての弟子・井上京子がフィニッシュ
第2試合は現役時代、中野さんと師弟関係だった井上京子と現在、ワールド女子プロレス・ディアナのWWWD世界シングル王者であるSareeeがタッグを組み、中野さんとは反対のコーナーに立つことが多かった伊藤薫、明日(7日)のディアナ後楽園大会で引退試合を控える青野敬子と対戦した。
井上はリングインすると獄門党のリーダーだった中野さんに頭を下げるなどかつての強い師弟の絆を感じさせる。
試合は井上と伊藤がパワーを生かした大技を放てば、Sareeeはスピーディーで多彩な技を披露。青野は翌日に引退する選手とは思えない力強い動きを見せた。
井上と伊藤の剛のファイトが昭和の女子プロレスラーの凄みを象徴するとすれば、Sareeeの軽やかさは平成のプロレスラーのそれ。この日観戦したファンはプロレス特有の“なんでもあり”を1試合で楽しめる格好となった。
フィニッシュは井上が貫禄のライガーボムで青野から3カウントを奪い勝利を収めた。
ディアナのリングではSareeeが王者だが、中野さんの前ではやはり井上はフィニッシュは譲れなかったか。
「“何かお祭りがあった時にはプロレスを”と思っていただけるように頑張りたい」
試合を観戦した酒井直人中野区長は「こんな間近で見たのは初めて。テレビでしか見たことがなかった。すごい迫力だった。感動した」と話した。
中野さんは今日の試合について「みなさんが沸いてくれたので、これからもどんどんいろいろなコラボができればいい。やって良かった。今は地域密着型でいろいろな団体ができているが、中野にはまだないので、私が観光大使になった暁には、団体というよりも、“何かお祭りがあった時にはプロレスを”と思っていただけるように頑張りたい」と話した。
中野さんの言葉を受けて酒井区長は「中野をプロレスの街に」と今後もバックアップする姿勢を見せた。
試合をした井上は「出られてうれしかった。私は今年30周年。いろいろな方にプロレスを見ていただきたいという思いがあったので、こういうところでプロレスができて良かった。師匠、ありがとうございます。中野さんはお気づきではないと思うんですが、私は中野さんのお店で大酔っ払いして、中野さんの前ではちゃんとしてるんですが、店を出た瞬間にグタグタになってます。中野は夜の思い出しかなかったので、昼の思い出を作っていただいてありがとうございます(笑)」と話した。
明日引退の青野には「出てくれることになって本当にうれしかった」と感謝の言葉
中野さんはこの日は現役時代のメイクをして放送席に座ったのだが「メイクはあまり日本ではやらない。でも今日はなんかやらないと印象に残らないだろうと思ってやってみた。やったら昔の気持ちに戻って舐められちゃいけないという気持ちになった。リングがあると懐かしい。もう試合はしないですけど。頑張ってる後輩を見ると自分も頑張らないとと思う」と話した。ヌンチャクでNORIを蹴散らした場面については「今日使ったのは軽いやつなんですが、回すとなじみますね。一本持ち歩こうかな(笑)」と話した。
また、明日引退する青野には「明日、引退試合で、今日はケガもしたくないだろうし、本当だったら体を休めて万全な状況で引退試合に臨みたかったと思うんですが、出てくれることになって本当にうれしかった。控室で膝と腰が痛いと言っていたので、あまり無理しなきゃいいなと思っていたんですが、今一番できる動きをしてくれたと思うので感謝しています」とねぎらった。
観光大使としては「中野人図鑑という番組をやるようになってから、何か中野区のためにやりたいと思っていた。観光大使になったからには、中野のいいところはまだまだたくさんあるのでそれを紹介していきたい」と話すと酒井区長は「もう観光大使になっていると思った。これまで以上に中野のことをPRしていただきたい」と話し、「(名前が)中野ですから…。他の観光大使にはなれないですよね」と「ブル中野」という名前も観光大使としては大きな決め手となったことを明かすと中野さんは「ブル東中野だったらまずかったですか?」と切り返す場面もあった。