延長戦で吉村が張本破る。東京の連勝は6でストップ【Tリーグ 東京vs岡山】
初戦のダブルスで岡山が2-0先勝
卓球の新リーグ「Tリーグ」の「木下マイスター東京vs岡山リベッツ」(11月25日、東京・青山学院大学体育館)で岡山がマッチカウント3-2で勝利を収めた。東京は開幕以来の連勝が6でストップした。
東京は初戦のダブルスに水谷隼、松平健太組で臨む。このコンビでは3戦3勝で水谷も松平とのペアリングには手応えを感じていたのだが、第1ゲームを8-11で落としてしまう。
前日の試合後「明日はダブルスを取れば9割勝てる」と言っていた水谷だったがなかなか調子が上がらない。
第2ゲームも序盤は岡山のペース。しかし東京は6-10のマッチポイントから驚異的な追い上げを見せ10-10で並ぶと、そこから一進一退の攻防を繰り広げる。14-14までゲームは進んだが最後は岡山が突き放し16-14。2ゲームを連取した岡山の上田仁、森薗政崇組が第1マッチを制した。
張本と水谷がシングルス連勝も…
第2マッチはシングルスで東京の張本智和と岡山の吉田雅己が対戦。ダブルスを落とし、ここで敗れれば絶体絶命のピンチとなる東京。張本は第1ゲームの序盤から気合満点で立て続けにポイントを取り、11-5で先取する。第2ゲームも張本の勢いは止まらず。長いラリーからズバッとスマッシュを決める場面にホームのサポーターがわく。ここも11-6で制すると第3ゲームも危なげなく11-8でまとめ、3-0で勝利を収め星を五分に戻した。
第3マッチは水谷と吉村和弘のシングルス。水谷は昨日までシングルスで連敗しており、本人も「誰とやっても厳しい試合になる」と臨んだ一戦。
第1ゲーム、水谷はチャンスでスマッシュに失敗するなどいまいち調子が上がらず9-11で落としてしまう。
しかし尻上がりに調子を取り戻した水谷は第2ゲームを11-7で取り返す。第3ゲームは7-9から追いつき最後は15-13で競り勝ちゲームカウント2-1と逆転。第4ゲームも接戦となったが、しのぎ切り11-9で取り、ゲームカウント3-1で勝利を収めた。
これで東京の2勝1敗となったが、第4マッチは岡山のエース上田と東京の大島祐哉が対戦。
上田は接戦となった第1ゲームを11-7で奪うと第2ゲームでは7ポイントを連取し11-4。後がなくなった大島は第3ゲームに意地を見せ6ポイント連取などで11-6と盛り返す。その勢いのまま第4ゲームは大島がリードするが徐々に上田が盛り返し、11-8で上田が取り、ゲームカウント3-1で勝利を収めた。
吉村「東京は強いメンバーで連勝していたので、いつか止めたいと思っていた」
これで2勝2敗となり勝負の行方は1ゲームで争われる「ビクトリーマッチ」へ委ねられた。
東京は張本、岡山は吉村が出場。
張本は11月17日のT.T彩たま戦でビクトリーマッチに出場。この時は勝利を収めている。この日は2点先制したものの徐々に追いつかれシーソーゲームを展開。6-8でリードを許したところでタイムアウトを取ったが、再開後のプレーで吉村に得点を許すと流れを変えられずそのまま6-11で敗れた。
吉村は試合後「相手が格上の張本選手だったので、僕は向かっていくだけ。相手は緊張していると思っていたので、自分は伸び伸びプレーすることを心掛けていた。張本選手がタイムアウトを取った後の1ポイント目を僕が取れたのが大きかったと思う。それで相手は焦ってしまって簡単なミスをしたのだと思うので、その1ポイントは大きかった。東京は強いメンバーで連勝していたので、いつか止めたいと思っていた。岡山でのホーム戦でしっかり2連勝してこの流れに乗っていきたい」と話した。
張本は「強気に攻めてミスしたらどうしようと慎重に行ってしまった」
一方、張本は「シングルスはいい試合で勝つことができて、最後は緊張感のある中で負けてしまって悔しい。前回のビクトリーマッチは4試合目で勝ってそのままの勢いで臨んだが、今回は2試合目に勝って少し時間が空いての試合。心の入り方の違いもあった。ビクトリーマッチが5ゲーム制だったらああいうプレーにはならなかったと思うので、1ゲームに集中しきれなかった自分にいらだったし、なによりチームが初めて負けたのが悔しかった。強気に攻められなかった。もし強気に攻めてミスしたらどうしようと慎重に行ってしまって、相手にスキを与えてしまった」などとこの日の試合を振り返った。
岡山の白神監督「吉村は世界一のチキータ。バック対バックの勝負だったら張本選手と勝負になる」
試合後、岡山の白神宏佑監督は「勝っちゃいましたね。一人一人が頑張ったが、チーム力での勝利だと思う。東京の連勝を止められて正直最高にうれしい。ダブルスが勝負だったが、ビクトリーマッチに張本君が出てくるのは分かっていた。誰が勝てるかと考えたら、世界一のチキータを放つ吉村で勝負しようと思った。それが的中して良かった。吉村のことは“セカチキの吉村”と呼んでいる。世界一のチキータ。バック対バックの勝負だったら張本選手と勝負になる。1ゲーム勝負にも強いので吉村でいった。次回は岡山でホーム戦。前回は1勝1敗だったが、今度は2勝して東京に追いつきたい」と話した。
敗れた東京の邱建新監督は「ダブルスで負けてしまったらほとんど負ける。ビクトリーマッチは1ゲームだけなので絶対に勝つということはない。水谷は2試合に出ていたので出られない。大島はちょっと危ない。なので張本に出てもらった。今日は勝ちたい気持ちが強すぎて、ちょっと力を入れすぎていた。逆にミスが出てしまった。全勝はできないと思っていた。いつか負けるとは思っていた。これからも普段通りに練習してダブルスを強化する。まだ勝ち点が9点差あるのでそんなに心配はしていない」などと話した。
この日の試合の結果、全チーム7試合を消化し東京が勝ち点20でトップをキープ。T.T彩たまが勝ち点11で2位につけ、岡山は勝ち点11だが得失ポイント差で3位。琉球が勝ち点8で4位となっている。
●木下マイスター東京(2-3)岡山リベッツ
◆第1マッチ
●水谷隼、松平健太(0-2=8-11、14-16)上田仁、森薗政崇
◆第2マッチ
〇張本智和(3-0=11-5、11-6、11-8)吉田雅己●
◆第3マッチ
〇水谷隼(3-1=9-11、11-7、15-13、11-9)吉村和弘●
◆第4マッチ
〇大島祐哉(1-3=7-11、4-11、11-6、8-11)上田仁〇
◆ビクトリーマッチ
●張本智和(0-1=6-11)吉村和弘〇