5年間の歩みを振り返る②【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第22回】

 前回に引き続き、GIRL’S CHが歩んだ女性向けのアダルトコンテンツの5年間を紐解いていきたいと思います。

 さて、この5年間における女性向けアダルトコンテンツの特徴を示すキーワードは、主に4つ。

 まず1つ目は、「スマートフォンの普及」。

 総務省によると、スマートフォンの個人保有率はこの5年間で爆発的に伸びたそうです。

 2011年は全体で14.6%だったのが2016年には56.8%に。

 GIRL’S CHのユーザー層にもっとも多い30代で見ると、2011年は28.9%だったのが、サイトオープン時の2013年には72.1%、2016年の時点で90.4%という驚異的な数字を叩き出しています。

 かつてはAVを見る方法といえば、もっぱらVHSやDVDが主流で、専門ショップに出向き購入するか、レンタルショップの成人向けコーナーでレンタルするかのどちらかでした。

 作品を手にすることはもちろん、特に家族と住んでいる人にとっては視聴することも難しい環境ですね。

 ところがスマートフォンの普及によって、配信された動画をスマートフォンの画面で見る、という視聴方法が主流に。

 購入から視聴まで自分のスマホ画面の中だけで済むため、店舗へ行くことの時間的、場所的なコストやリスクはもちろん、視聴できる環境も限られることはなくなり、人々がアダルトコンテンツを見る環境は大きく変化し、非常にアクセスしやすくなりました。

 同様に、GIRL’S CHもスマートフォンの普及とともに会員数を伸ばし、オープンから2年ほどで利用者数が月間100万人をこえるまでになりました。

 一方で、スマートフォン普及の弊害ともいえるのが、2つ目のキーワードである「違法アップロード動画まとめサイト」です。

 違法アップロード動画自体は、スマートフォンの普及前からずっとあったのですが、そういった動画を紹介する「まとめサイト」が乱立し、特にこの3~4年は女性をターゲットにしたまとめサイトが増えてきました。

 GIRL’S CHで実施しているような細かいカテゴリ分けやシチュエーションがわかるようなタイトル付けなどの手法を利用して、違法アップロード動画を紹介するサイトですね。

 これにより、無料で見られる違法アップロード動画が、女性に見やすいように整理されてしまい、より多くの女性の目に触れることになりました。

 奇しくも違法アップロードによって、女性にアダルトコンテンツが拡散していく結果となったのです。

 違法アップロード動画が見られることによって、本来なら販売して得られる利益もなく、利益がないから次に作る作品の内容や製作本数も限られてしまい、という悪循環が発生するため、メーカーや出演者にとっては大きな痛手です。

 近年ではそれを理解してくれるファンの方も多く、ちゃんと購入してくれる方が増えてきたようには思いますが……。

 そういったメーカーにとっては悪でしかない違法アップロードですが、その影響で女性がAVを見るハードルがだいぶさがったということも、残念ながら事実です。

 キーワード後編は、次回へ続きます。

田口桃子(たぐち・ももこ)
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。