その先の話をしよう【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第27回】
前回、前々回と、レズ風俗に行った話を書きました。
前々回:http://www.tokyoheadline.com/434840/
前回:http://www.tokyoheadline.com/436319/
そんなレズ風俗界をけん引している、レズっ娘クラブさんの「レズっ娘東京電撃作戦」というイベントへ行ってきました。
イベント内容はSNSでの投稿禁止なので詳細はお伝えできないのですが、そこで感じたことを書かせていただこうと思います。
まず、このイベントは「レズビアン」「レズ風俗」というキーワードを、みんな理解しているという前提でスタートしていたのが、とてもよかったです。
女性向けAVもそうですが、こうしたイベントを開催するときや、記事を書くときは、まずは知らない人に向けて「〇〇とは何か」という前提を説明しなければならないことが多い。
でも、毎回その説明からスタートしていたら、全然話が進まないんですよね。
女性向けAVで言うと、いつまでも「実は女性にも性欲がありまして…」「女性向けAVがありまして、男性向けとはこう違っていて…」という説明から始めていては、全然GIRL’S CHの話までたどり着けないわけです。
話はそれますが、女性に性欲があることを知らない、または、性欲がないという考えって、どういう理屈なのでしょう?
だって、考えてみてくださいよ。
女性に性欲がなくて、性行為を行うとしたら、それってセックスがすべてレイプってことですよ。
(逆に、男性がすべてそういう思想でいるとしたら、性暴力がなくならないのもうなずけます。)
話を戻しまして。
私はいつもその「前提の説明」にもやっとしていました。
私たちが語りあうべき、考えるべきことは、もうその先にあるはずなんです。
どういう方法で性欲を満たせばいいのか、自分の性欲と社会生活との折り合いをどうつければいいのか、というような意見交換が全くできないままでは、話が何も進展しません。
コンテンツでいうと、女性向けAVのスタートは確かにドラマものでソフトな作品だったかもしれないけど、現在はドラマ以外の内容や、男性が責められている描写などのハードな作品もあり、細分化が進んでいます。
以前この連載でも書いたように(http://www.tokyoheadline.com/431908/)特にGIRL’S CHでは作品のハード志向という傾向も見られます。
大声で言いにくいことかもしれないけど、もっと発信していかなければ、女性の性産業のことは全然伝わっていかないし、私たちももっと踏み込んだ議論を意識しなければならないなと感じました。
もうひとつこのイベントを通して感じたのは、偏見との闘いについて。
同性愛は差別と闘っている、風俗やAV業界の人は偏見を持たれている。
という風に思われる方がいるかもしれませんね。
あくまで自分のケースですが、AV業界で働くことになんの負い目もないですし、世間からの偏見に打ち勝つぞ!という気持ちは全くありません。(偏見を感じる…つらい…という思いがそもそもないため)まあ私なんてただの会社員ですし。
まわりに言えなくて苦しんでいる人、理解されなくてつらい思いをしている人も当然いらっしゃると思います。
ただ、このイベントに出演されていたキャストさんたちは、自分の仕事や性を謳歌しているように、私には見えました。
これも先ほどの前提の話と同じで、差別や偏見に苦しんでいるという思い込みは、彼ら彼女らの本当の気持ちを知る、邪魔でしかないと思うのです。
もう前提の話はやめましょう。もっとその先の話を、みんなで少しずつしていきましょう。
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。