境界がゆらぐとき。境界を越えるとき。天明屋尚展「国津神」

天明屋尚《風神》《雷神》 2019 ©TENMYOUYA Hisashi Courtesy Mizuma Art Gallery
 日本伝統絵画を現代に転生させる“ネオ日本画”を手掛ける現代美術家・天明屋尚の2年ぶりとなる新作個展。

 これまで戦国時代のバサラ大名や江戸時代の傾奇者、現代のストリート文化といった日本の祝祭的な美の系譜を取り上げてきた天明屋尚が、今回、モチーフとしたのは「国津神」。国津神とは、高天原から天降った神々である天津神とは対置され、豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)に生まれた、古来から日本の地に土着する荒ぶる神々のこと。

 本展では、天明屋が創造した風神、雷神、雪神、雨神、虹神、海神、山神、火神の8つの神々を描いた作品が展示される。各神はそれぞれ神獣や雲に乗り来訪する神であり、此岸と彼岸の理を超越した目に見えない霊的存在、即ち鬼として描かれる。

 会場中央の奥には神社の御神体に着想を得た立体作品も設置。古代の神々をモチーフとした作品8点と御神体を配置することで、会場はさながら神社仏閣のような、神聖な空気に包まれた空間となっている。芸術を鑑賞しているのか、神仏を祀っているのか。境界が重なり合い1つになっていく感覚を感じつつ、天明屋らしいポップで躍動的、スケールの大きさを感じさせる作品を堪能しよう。

天明屋尚展「国津神」
【会場・会期】ミヅマアートギャラリー 開催中〜3月30日(土)
【時間】11〜19時
【休】日月祝
【料金】入場無料
【問い合わせ】03-3268-2500
【交通】地下鉄市ヶ谷駅より徒歩5分
【URL】http://mizuma-art.co.jp/