【徳井健太の菩薩目線】第21回 窮屈な時代“平成”が終わろうとしている
規制の嵐の中、どう子どもたちを育てていくか
みんな、許さなくなってきてるよね。「いいよ」って言えない人が増えた。例えば、自転車の二人乗り。運転手の年齢が16歳以上で、幼児用座席を自転車の前か後ろに装着し、乗っている6歳未満の子どもがヘルメットを着用している場合に限り、違反にはならない。この範疇以外は、違反ということになる。
たとえ、子どもが中学生だったとしても、親父が子どもを乗せて漕ぐ二人乗りって、もっと尊いと思いたい。友だち同士の二人乗りだってそう。どんなソーシャルゲームよりも、関係性を感じられると思うんだけど。そういう関係が希薄になるから、ネット世界に強固なものを求め、あちら側に行ってしまう人だっているんじゃないの。
長男は、魚をさばくことにハマっているんだけど、自分の小遣いでデカい魚を買ってきてさばくの。親としては、微笑ましいよね。リアルな感覚に面白味を見出してくれるのはうれしい。俺は、子どもたちに実際にやってみることの楽しさを教えるようにしているんだけど、それだってどんどん但し書きが増えている。親と子ども、双方にとって窮屈になるような(自主を含む)規制って、何なんだろうって思う。
俺の子どもたちは、東京五輪も終わる2020年代に思春期を迎える。おそらく、
日本が一番底にいるときに多感な時期を過ごすだろうから、親として何ができるか日々考えている。
平成を振り返ると、自分の子どものときの思い出や、自分を成長させてくれた思い出が、今の時代では規制の対象になっていることが少なくない。子どもに、そういった馬鹿話を好き勝手に話せないんだから、これほど悲しいことはない。いずれこの地獄も終わると思う。だけど、つくづく、つまらなくなったなぁと思う。だから、次の時代は「それを変える」という気持ちを持ちたい。俺も微力ながら、そのつもりだ。
どんな時代になるんだろうね。俺は、平成後期に対するカウンターカルチャーが席捲するような空気感になっていくような気がしている。決められた場所で正座する、なんて文化や考え方は、さようなら。生きていることに対して、ハラハラしたいし、させてほしいと、心から思っている。
※徳井健太の菩薩目線】は、毎月10日、20日、30日更新です
【プロフィル】とくい・けんた 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。