オタクも2.0! アニソンDJイベント行ってみたらダサいオタクがいなかった
右の男性は難易度高めかと思われたセットアップも、なんなく着こなしている。左の男性はプルオーバーのジャケットがjumeauxの物
いわゆる”サブカル”がおしゃれなのと同じ
「普段使いできるので重宝してます」と、jumeauxの服を身につけているフロアのお客さん。
「今のオタクってアニメ好きだけじゃなくて、音楽好きやカルチャー好きっていうバックボーンがあった上でオタクしてる人も多いから、いわゆる”サブカル”がおしゃれなのと同じような意味でファッションセンスがある人も多いと思います。僕は普段着は高円寺などでセレクトアイテムや古着を買うことが多いです」
女性のお客さんにも話を聞いてみた。
「大アピールするのは違うけど、やっぱりキャラ愛やオタ主張アイテムは、どこかに取り入れたくなっちゃいます。20%分くらいでいいんですよね〜。昔はもっと服に興味なかったけど、今は会いに行く推しによく思われたい、とも思いますし」
「おしゃれVtuberとかも出てきてますしね。あんまりおしゃれすぎるとビビっちゃうけど、jumeauxの服は手持ちの服ともなじむから、オタイベントでも普段でも着られるすぐれもの! 痛ネイルともケンカしないし」
クラブだからおしゃれなオタクが多いのかと思ったが、そういうワケでもないのだそうだ。フリフリ服のオタサーの姫は、もう昔の女になりつつあるようだ。
左の女性は推しの声優のイニシャルとカラーを使ったネイルを楽しんでいた。言われなければ痛ネイルとも思わないだろう。 右の女性はイラストレーターとして活躍しているという。二次創作を描くのも好きだが、おしゃれなイラストもSNSに投稿するそう
「推し色着用」しつつ「推しに恥じない自分でいたい」
印象的だったのが「推し色」の服を身に着けたいということ。確かに言われてみると、昨今流行るアニメには、キャラごとにテーマカラーが設定されているものが多いかもしれない。
オタクがなぜ昔よりおしゃれになったのか、最も納得がいったのが「◯◯ファンキモいって思われたくない」という意見だった。
カルチャー好きがおしゃれなのはなんとなく分かるが、推しのアイドルやキャラに会えるリアルイベントや、オタク同士が交流するオフ会などが増えていることは一つ大きな要因かもしれない。昔ほど「オタク=インドア」というワケでもないということなのだろう。自宅でコンテンツを愛でているだけなら私服にお金をかける意味もないが、実際の交流が増えているため、「オタクだって人間なので、異性におしゃれだと思われたいし推しにほめられたい。オタクっぽい、と陰口を言われるのも嫌だ」という意見もあった。
SNSとインターネットの普及とカジュアル化は、電車男たちを部屋の外に出した。だから、部屋でイヤホンでアニメソングを聞くだけではなく、趣味を語らいにわざわざクラブに来てアニソンをみんなで楽しむ。
オタクだというだけで後ろ指を指される時代は終わった。それは時代が多様化したからという理由だけでなく、オタクたち自身も変化しているからなのだろう。
お酒を飲みながらみんなで趣味の話に花を咲かせ、「推し曲」が来るとフロアへすっとんでいくオタクたち。イベントが終わって渋谷の夜の街へ消えていく彼らの背中は、道玄坂町並みにもなじんでいた。
(取材と文・ミクニシオリ)