【徳井健太の菩薩目線】第27回 ネットニュースをどれだけ摂取しても栄養素にはならない
“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第27回目は、ネットに散乱するクソのような記事について、独自の梵鐘を鳴らす――。
独饅頭のようなネットニュースをどれだけ摂取しても栄養素にはならない
結局、ネットは現実社会とつながっている
インターネットの中に転がっている情報は、本当に怖いよね。
俺は考え事をしているときに、自分のヒゲを抜く癖がある。ある時、ネットサーフィンをしていると、“再び生えてくるけど、ヒゲを抜くと肌が荒れて病気になるかもしれないから抜いてはいけない”という記事が飛び込んできた。記事とは言えないような粗雑な文章だったけど。
ところが、他のサイトを見ると、“髪の毛を抜くと、生えてこなくなることがあるから抜いてはいけない”と書かれていて、“眉毛も自分で抜いてしまうと生えなくなるかもしれない”と書いてあった。なぜヒゲだけ生えてくるんだ? 髪の毛だって生えてくるじゃないか。専門医が見解を述べているわけでもなく、情報源も特に書かれていない。そもそも、これを書いている奴は、どこのどいつなんだ。
最後まで、記事とは言えないその文章を読むと、最下段に美容クリニックなどの広告が貼られていた。「ああ、インターネットだな」と思った。広告をワンクリックさせるための駄文が散乱している。本当に得たい情報を得ることは難しく、上位表示されるように意図的に設計された糞尿情報ばかりをつかまされる。インターネットってのは、恐ろしい独裁国家のような一方通行の世界が広がっていると、俺はヒゲを抜きながら思った。
俺自身、決してネットリテラシーが高い方じゃない。でも、信用できるか、信用できないかのアンテナは、そこそこ高い方だと思っている。ところが、こんな情報がいまだ検索上位に散乱し続けているってことは、どうやらネットリテラシー以前に、「この情報は信用できるか否か」の判断力に乏しい人がたくさんいるということなんだろう。毒饅頭かもしれないのに、嬉々として口の中に放り込んで、満足してしまうユーザーが少なくないってのは、恐ろしいもんだ。
毒饅頭は、やがて身体を蝕み、普通の饅頭との区別すらつかなくなる。廉価版の麻薬。当たり前のことだけど、自分が気に入ってお金を出して購入したものの方が尊い。情報は食料と一緒で、栄養価の高いものほど、自分にプラスをもたらすに決まっている。感想文みたいなそこらへんに転がっているネットの情報は、暇つぶしには最適かもしれないけど、どれだけ摂取しても栄養素にはならない。