【インタビュー】『全裸監督』で体当たり演技!“黒木香”役に挑んだ注目女優・森田望智を直撃

撮影・上岸卓史 ヘアメイク・尾曲いずみ スタイリスト・山口美帆
 かくして撮影シーンは、抑圧から解放されていく恵美がかつてないほど美しく輝く印象的な場面となった。

「とはいえ完成作を見たときにはやっぱり恥ずかしかったですけどね(笑)。以前に黒木さんが、自分の作品を見たときに“自分ではなく、なにか違う精神が乗り移った自分のような生命体で、とうてい自分とは思えない。だから役者は芝居に興奮するんだ”というようなことを本で書いていらしゃるという記事を呼んだんですが…私はやはり自分そのものにしか見えず、目を覆いながら見ていました(笑)」

 それまで世間が抱いていた“AV女優”に対する印象を覆し、テレビのバラエティー番組にも出演するなど強烈な個性を放った黒木香。演じ終えて、森田が抱く黒木香像とは。

「実はごく普通の女性だったんだろうな、と思っています。メディアで知ることができる黒木さんは、自ら演出されたものだったんだろうな、と。資料や本を読んだり、バラエティーで見る姿も、隙が無いように思えるんですよね。素の部分では、母親から抑圧されて好きなことができなかったり、多くの葛藤を抱え悩み苦しんだうえで、選んだ道だったのではないか、と。すごく強烈で強い女性に見えますけど、私は、ただ自分をさらけ出して好きなものを好き、と言った女性だったと思っていて、それも意識して演じていました。おそらく恵美は、腋毛がきれいだね、と言ってもらえたように、自分がきれいだと思うものをきれいだと言ってくれる、認めてくれる人に初めてアダルトビデオの世界で出会ったんだと思うんです。同じものを共有している村西軍団の人たちとも出会い、自分が許される世界もあるんだなと思ったところから、自分を解放していいんだと、どんどん思うようになったんだと思います。それが見ている人からは恵美から黒木香への変化につながっているんだろうなと思います」