子供たちに「失敗を恐れず挑戦することの大切さ」を伝える【夢の課外授業】

堀越正巳さん(撮影:蔦野裕)
 続いて、サッカー、タグラグビー、走り方教室の3つに分かれて授業の開始。

 秋本先生の「走り方教室」では「走り方を教えます。たくさんは走りません。正しい走り方で走ることで足が速くなる」と言うようにまず走らせた後に、正しいフォームとダメなフォームの違いを解説。走るたびに一つずつ正しいフォームで走るためのやり方や考え方を解説していくため、頭がこんがらかることもなく、子供たちはみるみるきれいなフォームで走るようになる。

 ここでは秋の運動会に向けてなのか、スマホで動画を撮る父兄の姿も多く見られた。

 水内先生のサッカーは最初は「だるまさんが転んだ」で体と心をほぐし、ボールを使った遊びでスタート。2人1組になって2つのボールを使う遊びでは「しっかり喋って!」とアドバイス。通常の運動部の練習ではお喋りをしていると怒られるのだが、ここでは「しっかりとコミュニケーションを取ることが大事」というのが目的。その中で、ボールを相手が扱いやすいところに供給するというサッカーに限らない球技の基本の考え方が体に染みついてくる。だからこの運動ではサッカーなのに手を使ってもOKなのだ。約10分が過ぎて、やっと足でボールを扱うようになるのだが、いきなり2チームに分かれ、ゴールが4つ、ボールも複数という状況での試合をスタート。ここでのルールは「点を取ったら喜ぶ」というもの。これは物理的に水内さんが4方向全ての得点を把握できないということもあるだろうが、同時に「ゴールが入るとうれしい」「ゴールはみんなで喜ぶもの」という意識の植え付けでもある。またここもコミュニケーションの大事さを分かってもらう一環でもある。

 タグラグビーではチームに分かれてタグを取る鬼ごっこから始まる。コンタクトプレーというラグビー独特の動きに慣れたところで、今度は球回しゲーム。ラグビーは後ろにしかパスができないため、「ではどうすれば早く前に進めるか」ということからみんなで考えさせるのがポイント。ここでみんなの共通理解ができたところで、決められた場所に向かって「トライ」をするという、より実戦に近い動きに移行。ここでも新たな問題が発生するたびに堀越先生は「どうしたら早くできるかみんなで考えて」とプレーをストップしてシンキングタイム。

 サッカーの水内先生もそうなのだが、特に高学年になるにしたがって、体を動かすだけではなく「考えること」「コミュニケーションを取ること」といった体を動かすこと以外の大事なことを子供たちに伝えていた。

 水内さんは授業の始まりには大きな声で挨拶することを子供たちに教え、授業の終わりにはこの日参加した先生たちがそれぞれの体験から「好きなことを続けていくこと」「それを考えながらやっていくこと」「チャレンジすることの大切さ」「失敗は経験になること」といった言葉を子供たちに送った。
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