スペイン語で歌舞伎? 浜中文一が近松門左衛門の空白の10年描く舞台

左から、江田剛、浜中文一
 主人公である近松門左衛門を演じる浜中は「初めて実在の人を演じる。どうしようかなと思ったんですけど、すごい楽しい」。演じるにあたって、資料にもあたったというが「調べてもすぐ忘れちゃうんで、調べたという事実はありますが、結果調べられてないってことになりますね」と話し、笑わせた。ただ、所作については厳しい指導があったよう。演出の鈴木が「先生が怖くて」と笑うと、「知らないこともたくさんありましたし、先生が非常に…丁寧に教えてくださって、僕と先生は深い絆で結ばれています」と、言葉を選んだ。他のキャストいわく、2人は友達のようだという。

 のちの大石内蔵助、大石良雄を演じる江田は「他の舞台では近松門左衛門をやらせていただいていたので、そのご縁なのか、近松さんが呼んでくれたのかなとうれしく思っています。本格的な和の舞台に出演するのは初めてなので、着付けとか教えてもらって勉強できるのが楽しい」。

 稽古公開前の取材。近松や大石を筆頭に、後水尾上皇、吉良など歴史の教科書に登場する人物の名前が飛び交い、ダンス、振付、歴史学者といった言葉が加わって、舞台のイメージがつかめない。見どころについて聞かれた浜中は「初めて、まあ、歌舞伎をやらせていただいて……」。他のキャストから笑い声がふつふつと沸き上がった。浜中は舞台で、スペイン語で歌舞伎をしている。内藤は「文ちゃん(浜中)のスペイン歌舞伎のアシストといいますか、盛り上げるべく、少し歌わせていただいています」と笑った。



 舞台は近松洋男の著書『口伝解禁 近松門左衛門の真実』を基にしており、近松が30を過ぎて戯作者として頭角を表すまでの、歴史に埋もれた20代を描いている。武士だった近松が刀を捨て戯作者として新たな人生を歩み始めるまでには、たくさんの出会いや友情、そして秘密があって……。歌舞伎や能・狂言を思わせるような動き、ユーモラスな動き、音楽などが入り混じる。
 
 構想は3年という本舞台。鈴木は「とてもいい稽古ができたし、満を持して、お届けできる」と胸を張る。

 浜中は「すごいいろんな角度から芝居を作っているので、あっという間の2時間弱だ思う。楽しみに見に来てください」とアピールした。

 25日まで同所で。27~29日まで、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで公演がある。

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