香港の大規模デモ、今なにが問題?長期化の背景にあるものとは

トークショーが行われたゲンロンカフェ

怒りの矛先、政府から警察へ


 100万人デモの発生から約4ヶ月あまり。抗議活動が長期化する背景には何があるのか。ふるまい氏が語ったのは、日本をはじめ、海外メディアではほとんど取り上げられなかった、7月21日の「地下鉄元朗駅の無差別襲撃事件」だ。香港郊外の地下鉄元朗駅で、帰宅中のデモ参加者や地下鉄利用者らを200〜300人の白いTシャツ姿の集団が無差別に襲撃。木棒や素手などで暴行を受けた市民45人が負傷した。

 事件の衝撃もさることながら、市民を失望させたのは香港警察の対応だった。事件の様子を中継していたインターネットメディアやSNSには現場を立ち去る警察官の姿が映し出され、これを見た市民は「恥ずべき行為」だとしてタイムラインが大荒れ。デモを抑制するために警察と白Tシャツ集団との共謀も疑われるなど、警察に対する怒りや疑心暗鬼が広がった。ふるまい氏は「これは、政治ではなく治安の問題。7月21日は大きなターニングポイントだった」とし、この事件をきっかけに、市民は政府から警察への怒りに変わっていったと説明。香港市民へのアンケートでは、デモ開始当時と現在までで香港警察への「不信感」の割合が高まっているという結果も交えながら、意識の変化を紹介した。この事件を皮切りに、香港では、個人で構成されたデモ隊のほかに、多くの業界団体も抗議活動を行うようになったという。