【インタビュー】内田慈 演じる役柄も演じる年齢も驚くほどに幅広い「何か気になる」女優ナンバー1 

(撮影・蔦野裕)
 かつては年齢的には下から数えたほうが早い現場が多かったのだが、最近では結構ベテランの部類に?

「演劇だとまだ若いほうになる座組も多いですけど… 今回の根本さんのところは完全に中堅・ベテラン組ですね(笑)。映画とかだと、おそれ多いんですが名前が止めになっていることもあって“ああ、そういう年齢なんだな”って思ったりします」

 作品的にはかなりエッジの効いた作品への出演が目につく。

「そうですね。出演を決めるとき、また作品を立ち上げるときに意識はしています。単純に観てくれるお客さまがびっくりしてくれたらうれしいなという欲はある(笑)。ただ20代で重要だったエッジの方向は”何をやるか”でしたが、30代に入って変わったのは、”いかにやるか”ということ。ひとつのことをしつこく考えていると、新しい価値観が見つかったりする。そういう意味で、お客さんにも自分にも新たな発見をさせてくれる作品をつくりたいと思っています」

 オファーをもらった時に出演を決める基準は?

「一番大切にしているのは“誰とやるか”。互いへのリスペクトがあると互いに寄り添えて、カンパニー全体が良くなって作品がより良くなるという成功体験がとても多いです。互いへの引力が決定打になっていると思います」

 では普段から常にアンテナを張ってさまざまな作品を見ている?

「それはすごく意識しています。一時期、忙しくてなかなか新しいものを吸収できない時期があったんですけど、自分を更新できていないことによる打撃が時間差でやってきたことがあって。“あれ? みんなもっと前に行っている気がする。怖いな”って。そこからまた勉強欲が増してきて。でも新しいものについていくことに必死になりすぎると目的を見失ってしまうこともあるので、その辺は気を付けながら。触れたい作品は演劇も、映画も、漫画も本も、国内外、新作旧作たくさんあるし、ファッションも音楽も歌舞伎も落語も、他にも知りたいことはたくさんあるのに時間が足りない(笑)。こんなペースでやっていたらすぐに寿命を全うしちゃいそう(笑)。やらなきゃいけないこととやりたいことがありすぎて、作業効率を上げないとなって思っています(笑)」

 かつては演劇の稽古に入ってしまうと突き詰めてしまい他のことが耳に入らなくなるタイプだった。

「それは今もです(笑)。なるべくそういう時期に入る前にいろいろなことを終えておいて、作品に入ったらそれだけに集中できるようにしています。ただ、今お世話になっている根本宗子さんはじめデキる方って忙しくても全方位が見えていますから、学ぶところはたくさんあります(笑)」