【インタビュー】内田慈 演じる役柄も演じる年齢も驚くほどに幅広い「何か気になる」女優ナンバー1
(撮影・蔦野裕)
今回の月刊「根本宗子」、オファーもらったときはどんな気持ちだった?
「根本さんとはもともと面識があって、お話をしている中で、いつか一緒にものをつくりたいなぁと勝手に思っていたので(笑)、オファーをいただいた時には不思議ではなく“やっと叶った”という感じでした。オファーの仕方がとても丁寧で。すごくきちんと面と向かってくれている姿勢がかっこいいなと思いました。送っていただいた初演の台本を読んだら、23歳の根本さんの衝動がめちゃくちゃに打ち付けられた作品で、すごくて。心に響くセリフがあまりに多くて、ああ、絶対出たいなぁと。即決でした」
内田は今年の東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門招待作品となった『テイクオーバーゾーン』では主人公の女子中学生の母親役を務めた。同作は「ジュブナイル脚本大賞」という思春期の少年少女を主人公とした映画のための脚本賞で大賞を受賞した岩島朋未による脚本を山嵜監督が映画化したもの。中学校の陸上部を舞台に、複雑な家庭背景を持つ14歳の少女の葛藤と成長を描いた青春映画。文字通り若い俳優たちが多い現場だった。
「山嵜晋平監督との出逢いは、松本花奈監督の『平成物語』というドラマに助監督として参加されていた時でした。柔らかい態度と柔らかい奈良弁で現場をすごくスムーズに回してくれていて、すごく好感を持っていました。そうしたら“今度は監督として新作を撮るから出てくれませんか”と声をかけていただいて。“山嵜さんのオファーだったら”と二つ返事で受けさせていただきました」
この映画で内田が演じるのは主人公の少女の母親。離婚して離れて暮らすなど人間関係が入り交じり、難解なポジションの役だった。
「今回は私にとっては結構特殊な役でした。割と多いのは、影のある役。何か抱えてて場末のスナックとかで働いている女とか多いし、ここ近年母親役をやることが増えてからも、とにかく何か抱えてて幸薄い役が多い。でも、『テイクオーバーゾーン』の母親は自分の人生に欲深い女。実の子供を捨ててセレブ妻になるため別の子供の母になろうとしている。罪悪感はなく、もはや実の娘のことは女として見ていて、非道に主人公を追い込みます。これは演じ方によっては分かりやすい悪者になってしまうんですが、そうなると多分、ドラマの深みが出なくなる。どう演じるかということはクランクインする前に随分悩みました。でも最終的にはやっぱり、女の裏側に何があるのか徹底的に寄り添うということに糸口がありました。私が彼女を正当化してあげられたら、頑張り切れないこの人の不器用さとかが伝わって、観客からただ嫌われるのではなく、いろいろな人の人生の一つとして受け取ってもらえるかなと思いました。とにかく監督とも、そこは丁寧につくっていこうと話し合いました」
「根本さんとはもともと面識があって、お話をしている中で、いつか一緒にものをつくりたいなぁと勝手に思っていたので(笑)、オファーをいただいた時には不思議ではなく“やっと叶った”という感じでした。オファーの仕方がとても丁寧で。すごくきちんと面と向かってくれている姿勢がかっこいいなと思いました。送っていただいた初演の台本を読んだら、23歳の根本さんの衝動がめちゃくちゃに打ち付けられた作品で、すごくて。心に響くセリフがあまりに多くて、ああ、絶対出たいなぁと。即決でした」
内田は今年の東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門招待作品となった『テイクオーバーゾーン』では主人公の女子中学生の母親役を務めた。同作は「ジュブナイル脚本大賞」という思春期の少年少女を主人公とした映画のための脚本賞で大賞を受賞した岩島朋未による脚本を山嵜監督が映画化したもの。中学校の陸上部を舞台に、複雑な家庭背景を持つ14歳の少女の葛藤と成長を描いた青春映画。文字通り若い俳優たちが多い現場だった。
「山嵜晋平監督との出逢いは、松本花奈監督の『平成物語』というドラマに助監督として参加されていた時でした。柔らかい態度と柔らかい奈良弁で現場をすごくスムーズに回してくれていて、すごく好感を持っていました。そうしたら“今度は監督として新作を撮るから出てくれませんか”と声をかけていただいて。“山嵜さんのオファーだったら”と二つ返事で受けさせていただきました」
この映画で内田が演じるのは主人公の少女の母親。離婚して離れて暮らすなど人間関係が入り交じり、難解なポジションの役だった。
「今回は私にとっては結構特殊な役でした。割と多いのは、影のある役。何か抱えてて場末のスナックとかで働いている女とか多いし、ここ近年母親役をやることが増えてからも、とにかく何か抱えてて幸薄い役が多い。でも、『テイクオーバーゾーン』の母親は自分の人生に欲深い女。実の子供を捨ててセレブ妻になるため別の子供の母になろうとしている。罪悪感はなく、もはや実の娘のことは女として見ていて、非道に主人公を追い込みます。これは演じ方によっては分かりやすい悪者になってしまうんですが、そうなると多分、ドラマの深みが出なくなる。どう演じるかということはクランクインする前に随分悩みました。でも最終的にはやっぱり、女の裏側に何があるのか徹底的に寄り添うということに糸口がありました。私が彼女を正当化してあげられたら、頑張り切れないこの人の不器用さとかが伝わって、観客からただ嫌われるのではなく、いろいろな人の人生の一つとして受け取ってもらえるかなと思いました。とにかく監督とも、そこは丁寧につくっていこうと話し合いました」