ウルトラマン『侵略者を撃て』トーク&上映会にバルタン星人乱入

ウルトラマンのスーツアクター古谷敏

「辞めようと思った」古谷を思いとどまらせたのは…


 この日、当初は俳優の佐野史郎が出演の予定だったのだが、今月初旬のテレビ番組収録中の事故によるケガの治療のため出演が不可能となり、代打で古谷が登場した。

 古谷は上映前のトークで『ウルトラQ』でケムール人を演じたことをきっかけにウルトラマンを演じることになったいきさつを話す中で「これはラッキーな運命だった。素晴らしい作品となって、53年経った今でもスペシウム光線の伝道師として“Bin Furuya”として各国に呼ばれている。最近、ウルトラマンは主役なんだ、すごいんだとつくづく思う」と話しながらも「最初に主役と言われたときはうれしかったが、行ってみたらケムール人と一緒で仮面をかぶる役だったので、お断りした。でも2週間考えて、最終的にOKした」とウルトラマンを演じるうえで迷いがあったことを明かした。

 しかし肉体的な苦痛と「隣のセットで他の俳優さんの芝居を見ていて、“僕もああいうふうに顔にライトを当ててもらって演じたい”という精神的苦痛があった」ことから一度は辞めることを決意。円谷プロに辞めることを告げるためにバスに乗ったところ「途中で乗り込んできた子供たちが“ウルトラマンはすごい、怪獣もすごい。バルタン星人が好き”といった話をし始めた。その話を聞いて、子供たちはウルトラマンをヒーローとして扱ってくれているということが分かって、全国の子供たちのためにもう一度一からやり直そうと決めた。39本できたのもその子供たちのおかげ」と振り返った。

 またトークではウルトラマンの戦う前の構えは、古谷が尊敬する俳優であるジェームス・ディーンの映画『理由なき反抗』の格闘シーンにルーツがあったことが語られた。