小林直己、海外進出を実現させた行動力「LAの街でプロデューサーがいたら自分から声をかけるんです」

 そんな海外挑戦のなかで、思い至ったことがある。

「そういうことをしていると、世界を目指す中で自分の強みってなんだろうと考えるようになるんです。相手に“お前と仕事をしたい”と思わせるには一番何が大切なんだろう、と。いろいろ経験して結局、それは日本で生まれ育った自分らしさを生かすことじゃないかな、と思うようになりました。相手が今どんなことを求めているかを察したり、礼儀や気遣いがきちんとできていたり。それは僕が親や社会から教わって身に着けてきたもの。日本人らしさと言っていいのか分からないけど、そういうことが意識せずとも自然とできるって、けっこう強みだなと思ったんですよね」

 小林がヒロインを翻弄する日本人カメラマン役で存在感を放つNetflix映画『アースクエイクバード』では“日本の文化性”すなわち“日本らしさ”がミステリーへといざなう重要な要素となっている。

「日本の奥深さとかミステリアスな感じがすごくよく生かされているなと思いましたね。こういうふうにユニークだと思われることは、表現者にとってはプラスだと思うんです。だからもっと日本からもアピールしていっていいと思うんですよね。ロンドンで上映された後のティーチインでもお客さんから質問が次々と上がりました。日本を題材に日本で撮影された作品にあんなにお客さんが来てくれて、こんなに日本のことに興味を持ってもらって、すごくうれしかったです。もちろんうれしさだけでなく、自分自身が世界に向け発信力を持つ人間にならないといけない、日本に興味を持ってもらえるきっかけに僕自身がなっていかないといけないと強く思いました」