【インタビュー】戸田真琴の思う「孤独」とは? そして「考える」ことの大事さとは。
(撮影・蔦野裕)
「この本を読んだ人が、自分自身を好きになってほしい」
この本の中で書かれている「孤独」というのは一般で使われるそれとはちょっと意味が違いそう。
「たくさんの人に囲まれていても孤独であることはできるし、誰かと添い遂げることになっても孤独であり続けることはできる。そもそも自分が自分という人間を認めて、精神的に自立した状態であって、自分の面倒を自分で見られる状態であることに越したことはないなと私は思っています。そうではなくても、他者との補完関係で幸せに生きていける人はいっぱいいると思うんですけど、それでもなお他者とも影響し合いながらであっても自分自身というものはちゃんと見つめられていたほうが絶対にいいなとは思っています」
ちょっと話は変わりますが、理解者というものについてはどう考えています?
「それはいるかいないかですか?」
理解者が家族である場合と友人である場合とかいろいろありますが、まずは必要か必要ではないかについては?
「いるほうがいいとは思うんですけど、いなくても生きていかないといけないと思っているところはあります。ただそういう理解者というものも、そもそも自分という人間が自立していないと出会えないのかなとも思っています。だから誰か理解してくれる人に出会えることを夢見るよりも、自分自身が自分のことを理解してあげるとか、愛する人がいない時は自分自身を愛することに心を使うとか、周りの人に優しくすることに心を使うとか、そういう時間のやり過ごし方があると思っています。そういうことを繰り返していくと、いつか出会えたりするのかな、とも思います。ただ、誰かが現れないかということだけに頼っていると、そうじゃない場合に立ち直れなくなってしまうので、それは私はあまりお勧めしないなって思います」
とにかく自分をしっかり持たないと、ということですね。
「そうですね。結構昔から、自分こそが自分を愛してあげてほしい、と願っているところがすごくありました。他人であっても、その人自身が自分自身を嫌いになってしまうということが私は本当に嫌なんです。それはすべての人に対して思っています。だからこの本を読んだ人が、自分自身を好きになってほしい」
自分のことで手一杯の人が多い中で、幼少期から現在に至るまで自分以外のことに関しても随分考えている。
「別にそうしようと思ってしていることではないです。いいことなのかも分からない。もっと自分のことだけ考えて生きていたほうが人間として得かもしれないですけど、そこは分からない。“そう思っているから”というだけですね」