瓦田脩二「リーダーの自分が、一番かっこよくなければいけない」


 キックボクシングを始める前から格闘技が好きだった?

「そうですね。小さい時からテレビでやっていたK-1を見ていました。ただキックボクシングを始めることになるとは思っていませんでした。というのも小学校に入学する前からサッカーをずっとやっていたのですが、空手を習いたいと親に相談しても反対されてやらせてもらえなくて。危険だからと止められていた背景には、祖父が柔道で全日本の2位とか3位までいった選手だったこともあると思います。祖父自身もよく怪我をしていて、祖父に教わっていた叔父も怪我をすることが多かったようなので、孫の僕には絶対にやらせない、と」

 ではどういうきっかけで格闘技を始めたのでしょうか?

「高校3年まで福岡にいて、サッカー部を引退してからは運動不足の解消が目的で近くのキックボクシングジムに3~4カ月通っていました。その後、大学進学にともなって東京に出てきて、大学ではサッカーのサークルに入ったのですが、高校で引退するまで真剣にサッカーをやってきたからサークルには違和感がありすぎて。“これならやらないほうがいい”と思って、サークルはやめました。でも何かしたいな、と思った時キックボクシングは楽しいしもう1回やってみたいと思ったのと、東京に出てきていたので格闘技を止める親もいない(笑)ということで、キックボクシング部に入部しました。それで、当時、自分は経験もないのになぜか“ここにいる誰よりも強い”と感じていて(笑)。でもいちばん最初に体験入部でボコボコにされてしまったんです。それで“この先輩たちを全員倒してから、辞めるにしてもそれを達成してからだな”と思って入部することに。結果的にサッカーよりキツい選択になりました(笑)。その後、全日本学生キック連盟で、今、プロとして他団体で活躍している先輩がむちゃくちゃ強くて、それを見た瞬間“ここでチャンピオンになりたい”と思ったんです。それで週6回、インフルエンザにでもならない限りは毎日練習していました。トーナメントには人数が多くてなかなか出られなかったのですが、やっと3年生になって出られた試合では1回戦で負けてしまった。残りの1年間は最後だし引退前に優勝して終わりたかったので、空手経験のあるような選手に負けてしまうことを考えると、2倍・3倍と練習すれば2~3年分経験が積めると思って、本当に当時は技術とかじゃなくて、とにかく走り込んでとにかく筋トレして……という根性論で練習していたのですが、その結果、4年生の時にやっと優勝することができました。その後、タイで開催されたアマチュアのムエタイ世界大会でも優勝することができて、それまで格闘技をプロでやっていくつもりはなかったのですが、自分でもいけるんじゃないかと思い始めました。それから先輩と食事に行った時に将来の話になって、自分が格闘技をやっていきたいことを話すと、その場でスポンサーを紹介してくれて即就職が決まったんです。それから、今も午前中3時間は飲食店で働いて練習に行く生活を送っているのですが、朝起きてから仕事の3時間の間に完璧に目が覚めるんです。だから一番いい状態で練習に入ることができます」