松本日向「自分が持っている力や技、全てを使ってアピールしていきたい」

格闘家イケメンファイル Vol.108


 2019年にAbema TVで放送された格闘リアリティー番組「格闘代理戦争 4 th season」で注目を集め、同年秋のプロデビュー後は2戦2勝の松本日向。その名のとおりあたたかい太陽が照らしこむような笑顔を試合中にものぞかせながら、タフな展開を全力疾走でものにする姿がファンを魅了し人気急上昇中だ。2020年3月28日(土)に東京・後楽園ホールで開催される「Krush.112」では、松本がK-1カレッジ王者となった2018年にK-1甲子園王者に輝いた多久田和馬と、プロデビュー後、無敗同士の対決となる。
松本日向(撮影・蔦野裕)
「負けず嫌いなもので、本当に負けたくない一心で戦った結果です。ただプロデビューしてからの2試合は『格闘代理戦争』からの枠でしか戦って来ていなくて、しかも同じ対戦相手(=橋本実生)だったので、今回初めてその枠から出て戦えることにワクワクしています。どれだけ通用するのか。自分や実生くん、そしてもちろん他の『格闘代理戦争4th season』出身選手たちがどんどんプロで勝って行けたらすごいですよね。逆にここで負けてしまったら“内輪”だけだと思われてしまうかもしれませんから絶対に負けられない。今回の対戦相手の多久田君は、自分が極真空手をやっていた頃に同じ大会に出ていたことがあって。彼は強くて有名でした。ただこれまでの彼の対戦相手と比べて、自分ほどしつこいタイプはいないと思うので。全部ひっくり返すつもりで行きたいと思っています」

 しつこさというのはスタミナ面での自信も?
 
「めちゃくちゃあります。試合の3分で出し切ってもラウンド間のインターバル1分で結構回復できるので。スタミナ以上に回復が早いのだと思います。空手のトーナメントなど連戦が当たり前だった経験もあるでしょうけど、一番大きい要因は今、ジムでスパーリングをトップ選手の方たちとしかやっていないからでしょうね。同じ階級の人が相手だと体力的に余裕があって逆に使い切ることが難しいくらい。それに絶対に“疲れた”とは言わない皇治さんを見て自分も疲れたとは思わないようになりました。そういう気持ちの面でも強いほうですね」

 これからどんな試合をしていきたい?

「どうやって倒すというこだわりはありませんが、少しでも感動してもらいたいとは思っていて。格闘代理戦争でも自分は皇治軍団でただ必死に戦っていただけだったけど、その必死な姿で喜んでくれたり、“力をもらったよ”と言ってくれる人がいた。だからあれから戦い方は変わらないのかなって。皇治さんにも言われているのが“カッコつけて戦う必要はない”。自分が持っている力や教えてもらった技などを全て使ってアピールしていきたいです。あとは見られているというのも、モチベーションになりますね。2019年9月のKHAOSのプロデビュー戦でも入場の時にみんなが見えた瞬間“これヤバイな”と(笑)。というのも試合前って周囲の熱もあってみんな興奮状態なんですけど、そのくせ心配している感じが印象に残っていて。そんなみんなに対して“見とけよ! 大丈夫だから!”っていう気持ちを込めつつ、自分へのリラックスの意味もあって笑顔で入場しているんです。ただ、それでよけいに心配されちゃってますね(笑)」

「格闘代理戦争」出身であることに特別な想いがある。

「それはもう。ずっと忘れられないと思います。だから実生君といつか再戦するときが来て、それが大きい舞台であるほどいいですよね。そもそも格闘代理戦争は出るつもりがなかった、というのもあって……。当時の自分は、大学2年でK-1カレッジで優勝、ほかにもJ-NETWORK アマチュア全日本選手権大会で優勝できて、アマチュアで獲るべきところはもうないと思える段階になっていたところでキックボクシング部部長になりました。下の代から急激に部員が増えたのですが、初心者の新入部員が戦う姿が衝撃的で。自分は格闘技をやってきたから当たり前でしたけど、そもそも何もしたことのない子たちがいきなり殴り合うなんて怖いだろうに、それでも戦うのがカッコいいと思ったんです。だから少しでも後輩に勝ってほしいということで育成や指導に回ることを考えたのですが、“それは違う”と。これまでの人生を通して、自分が頑張る姿で周りを引っ張ろうとやってきたので、それを止めちゃダメだと気づいたんです。そう思っていた矢先に格闘代理戦争の話が浮上して。やっぱりこういうものは最初に興味は湧きますよね。でも階級も違ったし条件に合わない部分もあったので、やれるとは思わなかった。でも“やってみたら”と薦めてきた父が日が経つにつれ口にしなくなると、逆にそれで煽られちゃって(笑)“じゃあ、やるよ”と。自分自身、挑戦しなかったら後悔するとも思ったので。やりたくないことを強制する親ではありませんから、最終的に自分で決意して父の誕生日直前の締切日に申し込んだらすごく驚かれました。だけどどうしても受かる気はしなくて、それは当時プロになると一切思っていなかったから。こういうのはプロになりたい人のためにあるはずだから、自分のような人間が行くのは違うだろうと。ただ自分は頑張ってもいないのに悲しんだり喜んだりする人ってすごく嫌なんですよね。頑張ったからこそ悔しかったりうれしかったりするもの。そういう性分と、負けず嫌いの性格の両方が出てしまった。みんなが“人生を変えに来た”と言うのを、“何言ってんだ”くらいに思って“他に頑張ることあるだろ”って。だからこそ自分はリングに上がったからにはやれる限りをやろう、と」
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