【新連載】GENERATIONS 関口メンディーの「メンディーのコラムンディー」第2回『鬼滅の刃』で“認める”について考えた

なぜこのキーワードにしたかというと、劇中でも「お前を認める」とか「俺は認めない」とか。そういったセリフが出てきます。感動的にシーンにも“認める”というキーワードがすごく密接に関わってくるんです。

主人公が強くなるために師匠に弟子入りして、日々修行するのですが、なかなか認めてもらえない。認めてもらえないから、努力する。それでも、まだ認めてもらえない。ですが序盤の山場である師匠に因縁のある鬼を倒して、久しぶりに師匠の元に帰ってきた時に「よく頑張ったな」と言ってもらえるんです。初めて認めてもらえた瞬間。主人公も大粒の涙を流す感動的なシーンです。

家族を殺された際に唯一生き残った主人公の妹は、鬼に血を分け与えられたせいで鬼になってしまいます。鬼は人間を食べて生きているので、当然周りから忌み嫌われ、時には殺されかけてしまうのですが、主人公の想いと説得で、周りも彼女の存在を認めていくんです。

彼女自身も自制心を保つ尋常ではない努力と精神力で、未だかつてない特殊な鬼になるわけですが、この状況は新しいことに挑戦するときの世間の反応とすごく重なります。新しいことに挑戦するとき、大抵の周りの人たちは否定的な言葉を投げ掛けてくることが多いです。それは見たこともないことだから、しょうがないけれど、その先のワクワクに敵うものってないと思うんです。主人公は否定的な人たちを熱い想いと結果でねじ伏せ、証明したわけです。認めさせた。かっこ良すぎる。

主人公をベタ褒め中ですが、さらに褒めていきます（笑）。

書いている通り、主人公は認める力、認めさせる力をもっているのですが、何がすごいって家族を殺した張本人である鬼をも認めてあげるんです。鬼がしてきた悪行は許さないけれど、存在を認めてあげるというか。

戦いに勝利したあとで、過去に寄り添ったり「君の技は凄かった。本当に強かった。」と声を掛ける。中には鬼になる前、まだ人間のとき、ずっと存在を否定されてきたり、寂しく辛い思いをしてきた鬼もたくさんいて。そんな思いから鬼になる道を選んでしまった鬼たちも死ぬ前に主人公から産まれて初めて存在を認めてもらえる。

するとどうでしょう。鬼が優しさに触れて涙を流すわけです。忘れかけていた感情を思い出すように。本当にグッとくる。ここにも生まれてからずっと”悪”な人間はいない、というような作者さんの想いも感じます。

認めてあげられる人になってもらいたい

誰かに、「頑張ったね」とか「君はここにいていいんだよ」と認めてもらえることってやっぱりうれしいことですよね。

でもそういう機会ってなかなかない。

特に認めてもらいたい人に認めてもらえることは。認めてもらうために頑張るっていうのは少し違うのかもしれないけど、自分の達成したい目標や夢に向かって一生懸命に頑張ったその先にふと存在を認めてもらえた時は言葉で言い表せない感情になる。

自分の場合ではオーディションでEXILEになれたとき。あの時以上に感動して、気付いたら涙があふれていたような経験は未だにないです。HIROさんを含め、たくさんの人たちに認めてもらえた、そんな気がしたんです。

だから自分含めて、皆さんにも周りの人を認めてあげられる人になってもらいたい。

でも認める事って素晴らしいけど、実はすごい怖い面もあると思うんです。

例えば、「自分の負けを認める」「自分の非を認める」「自分の実力を認める」。全部怖いですよね。目を背けたくなる。でも自分と向き合って自分自身を認められないと、先に進めない。頭で分かってても不意に強がってしまう自分、ダサい自分が出るときは本当に僕も嫌になる。

“人は鏡”

本当はとてもシンプル。“他人を認められない人間は誰にも認めてもらえない”と思う。自分もそうだけど、性格なんて簡単には変えられない。けど自分を理解して、今の自分を認めて少しずつでも訓練していけば、必ず変われる。“人は鏡”ということは“自分が変われば周りも変わる”。人に任せず、自分で動いていく、そんな人間に僕もなりたい。そう思っています。

いろいろと脱線しながらも書いてきましたが、『鬼滅の刃』という漫画は、周りを認め、自分も認められ、時には挫折しそうになりながら、主人公や周りが共に成長していく。そして自分の人生を投影できるメッセージ性の強い人間ドキュメンタリー。そんな風に僕は感じました。

まだまだここには書ききれないほど、内容の濃い物語になっているので、もしまだご覧になった事がない方はぜひとも騙されたと思って見てみてください！　涙と鼻水でティッシュ一箱なくなる覚悟で！

※GENERATIONS 関口メンディーの「メンディーのコラムンディー」は、毎月第１・第３木曜更新予定