水源から蛇口まで。日本最大級の水道トータルサービスが4月誕生【東京水道株式会社 野田数社長】
世界に目を向けますと、東京都の水道は海外からも高い評価を受けているそうですね。
「そうですね。かつて20万人を対象に、東京水と市販のミネラルウォーターの飲み比べをしましたところ、美味しいと答えた人の数がほぼ同じだったんです。品質が非常に高い。また東京都は、水道水が家庭の蛇口に達する間にどのくらい漏れるかを表す“漏水率”が世界屈指の低さです。ロンドン26%、NY8.3%、東京都は3.5%と、世界の主要都市の中でも圧倒的に低いんです。東日本大震災でも都で水道管が壊れたことはありませんでした。地震大国でこれだけの低い漏水率を維持しているのは、121年の技術の賜物だと考えています。こうした背景には、土地の狭い日本でダムを作るときに、“水を大切にしなければいけない”というインセンティブが働いていたこと、またヨーロッパなど水源が豊かなところに比べて、日本は計画的に水道管を更新してきたことがありますね。資源が少ない代わりに“無駄を排除しよう”という日本人の几帳面な気質の上に成り立っていると思います」
海外事業についても積極的に関わっていらっしゃいますね。
「そうですね。ODAの事業では国内のコンサルタント企業とJVを組んでいます。例えば、ミャンマーでは、現地の企業と当社などが、ヤンゴン市の漏水率の改善に取り組んでいます。また、マレーシアでは、現地で研修フィールドを作って水道技術を現地に提供するなども行っています。途上国では有収率(収入を得られる水の割合)が低く、十分な水道料金を得ることができない国も多いんですね。水が漏れていること、また水が盗まれていることなどもよくあるようです。水道事業を行う上で、そうした問題を改善するために維持管理の基本を伝えたいという思いがあります。このように当社は人を育てる、技術を伝える事業が多いため、SDGsにも貢献していけると考えています」
最後に、都民に一言お願いします。
「4月から新しい会社Tokyo Waterが発足しました。当社の車が都内各地を走り、水道の安定供給のために日夜奮闘しております。都民の皆様により安心して生活していただけるように、頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いします」