緊急事態宣言延長でもリラックス!ロックダウン1カ月の英国の普通の暮らしからのヒント

健康維持のために1日1回の運動は許されているが…… 写真:Splash/アフロ

「イギリス人は危機的状況になるとパンを焼き始める」



 フリーランスでTV制作をしているカナコさんは、ロンドン郊外の自宅で夫と6歳の子どもと暮らしている。単身者と比べて食料品や生活用品など確保しなければならないものの量は増えるし、子どものこと家族のことなど気にしなければならないことも多いのは、日本と変わらない。

 ロックダウンの兆しは声明発表の少し前から感じていたという。「3月18日、娘の小学校から学校は20日まででそれ以降は休校になると聞きました。23日にロックダウンの声明がありましたが、休校になった時点でロックダウンも時間の問題だろうと覚悟していました」。

 休校になった翌日に日本米をインターネットで購入しようとするも、すでにどこも売り切れ状態で「なんとか入手したという感じ」。パンを焼くための粉、2週間ほど持つ程度のトイレットペーパー、ティッシュボックス、パスタ、トマト缶、洗濯剤、洗剤、ハンドソープを買い揃えたそうだが、「買えなかったのは、イースト菌、卵。今でもイースト菌は全く売っていません。イギリス人は、危機的状況になるとパンを焼き始める、という都市伝説があるとツイッターで何件か読みましたが、これは正しい情報でした」。ガーデニングをする人が激増して肥料や土なども売り切れ、理髪店も閉まっているため髪を切る用のハサミ、ヨガマットも売り切れになったという。


収入がなくなって不安だというふうには感じていない



 ロックダウン開始から1カ月が経った現在は、自宅で番組のリサーチをしながら、家族と一緒に過ごす。買物は週に1度だそう。

「最初の数週間は戸惑いもストレスもありましたが、私自身は収入がなくなって不安だというふうには感じていません。みんながこの危機に直面しているのだから仕方ないというか……フリーランスも補償をもらえると政府のガイドラインが届いています」

 住環境も心の余裕を持てる大きな要因といえそうだ。健康維持のための運動に1日に一度の外出は許されている。そのため、1日に1度、1時間程度近所の公園を散歩したり、子どもと自転車で出かける。

「庭のある家に住んでいること、周りに自然や公園が多くある環境であることも、精神的なストレスを軽減していることは大きいです。これについては本当に幸運に感じています。同時に、狭いアパートで子どもがたくさんいる家庭などはストレスが溜まる一方だとも思うので、なんとか乗り切ってほしいと思います」
 
 カナコさんの場合、娘さんがひらがなの練習に夢中になったことも幸いした。「これだけ長い時間を娘と過ごすことはないので、家族の時間が多く持てていることは良かったと思います。コロナ休暇がなければ、娘はひらがなをマスターできなかったと思います」


生活に必要な食料以外で、ホッと出来るもの



 ロックダウン下の生活を自分なりの過ごし方を見つけているように見える。

「エクササイズをすること、生活に必要な食料以外で、幸せを感じる、ホッと出来るものを置いておくことはとても大事です。私の場合はチョコレートと、大好きな王室御用達のコーヒーを配達してもらいました。ちょっとした贅沢です」

 自分らしい過ごし方を見つけていく一方で、通っているヨガスタジオの今後、クライアントの経営危機などを聞いて心配も募る。ただやはりもっとも気になるのは子どものこと。

「いつ学校が再開するかどうかが心配です。いろいろな親の話を聞くと、子どもたちは学校に行けない、友達に会えないことでストレスを感じています。うちの娘も基本は機嫌よくしていますが、昨夜は、友達に会いたいと突然泣きました。現在科学番組のCOVID-19番組のリサーチをしていますが、その中で”学校閉鎖によるインパクトはほぼない(そこまで感染防止には貢献できない)”という科学的なデータがあります。今後の科学的データに期待したいです」

 COVID-19 が収束したら、「近所のホットヨガへ行って、友達と美味しいものを食べに行きたいです。地域社会で凹んだ経済をリカバーする助けをして行きたいと思います」とカナコさん。その日が早いうちに来ることを願う。