要潤、『仮面ライダーアギト』の舞台挨拶から得た“大切な経験”



 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ほとんどの仕事がキャンセルになっているという要さん。それだけに 「このラジオにフォーカスして、“ラジオDJ・要潤”としてやっていきたい」と朗笑する。

「僕も大好きで聴いている神田伯山さんのラジオのように、思いっきり毒舌を吐くことができれば気持ちいいだろうなと思うんですけど、毒を吐ける話術がないので、さわやかにいきたいと思っています(笑)」

 役者になって19年目。 初めて臨むラジオのパーソナリティだが、実は、“書くこと”も好きだとか。

「書くことで自分の考えや自分の思いみたいなものを整理しています。先輩に言われたことが、“5年後の目標を立てなさい”ということ。5年後に自分がどうなっていたいかなどを書いては、折を見て見返していました。自分の未来図、目標とでもいいますか、そういったことを整理する癖があって、今でもなんとなく思い立ったときに書くようにしています」

 また、「自分の中でゼロから何かを生み出せる人ってかっこいいなと思うんです」とも明かす。

「僕の中で、文章を上手に書ける人ってとてもかっこいいなっていうのがあって。自分の頭脳の中で、仕事が成り立っている人ってすごいですよね。普段、自分は演じるばかり。台本が出来上がった状態、ある程度骨組みが出来上がった状態があって、そこから役者が肉付けをしていく。ところが、書くという作業はゼロから作り出すもの。 そういう自分を引き出したいという思いもあって、書くようにしているんですよね」

 書くことが好きということは、本を読むことも好きなのだろうか?

「台本を読むことに慣れていることもあって、本を読むのも好きですね。 好きな作家をあげるとしたら……たくさんいすぎて選べない(笑)。でも、大切な一冊を選ぶとしたら、ベタかもしれないですけど、司馬遼太郎先生の 『竜馬がゆく』」

 なんでも、この本との出会いが、要さんの役者人生に大きな影響を与えているそうだ。

「19歳のとき、『仮面ライダーアギト』への出演が決まって、役者としてデビューすることができたのですが、その際に当時のマネージャーさんが、本屋さんに行くぞと」

 よく分からずについていくと、マネージャーは『竜馬がゆく』の一巻を購入し、要さんに渡した。「役者になるんだったら、この本を読め」と一言添えて。

「これから自分がどういう人生を歩んでいくか、すべてここに書かれている、と。それ以降、司馬遼太郎先生の作品に魅了されてしまって、いろいろな作品を読むようになりました。当時のマネージャーさんはとても熱い人だったこともあり、本当に大切な一冊なんですよね」

 そして、話が『仮面ライダーアギト』に及ぶと――。

「一年間撮影したんですけど、とても過酷でした(笑)。朝早くから、夜遅くまで撮影するのですが、初めての現場なので思うように芝居ができないんですね。同年代も多いから現場に行くことはとても楽しいんだけど、毎日毎日、歯がゆい気持ちで現場に入っていましたね。自分が俳優として、何かをしているという感覚はあまりなかったです。セリフを言うことに精一杯でしたし、現場に馴染むことにも一生懸命。ひたすらカメラの前で、お芝居をやろうとしているという感覚……修行みたいな感じでしたね」

 手ごたえがなかなか得られない要さんに、大きな気づきをもたらす機会が訪れたのは、撮影が始まってから半年を過ぎた夏頃。『仮面ライダーアギト』の劇場版映画のために訪れた舞台挨拶の場だった。

「そのとき初めて見てくれている人やファンの方々との関わりがあったんですね。当時、僕は(東横線の)元住吉に住んでいたのですが、そこから電車で東映のスタジオがある大泉学園まで通っていても、声をかけられるなんてことはまったくなかったんです。舞台挨拶をする東映会館が銀座にあるのですが、銀座の駅に降りた瞬間、ファンの方から声をかけていただいたり、手紙をいただいたりして驚きました。駅から東映会館までは5分ほどで行けるはずなのに、むちゃくちゃ時間がかかったんですよね(笑)。劇場に着くと、行列、黒山の人だかり。「何が起こってんの?」って、自分のしていたことが、これだけたくさんの人に見られているんだという実感がわいてきました」

 この経験が、役者としての自覚をもたらしてくれたと振り返る。
 
「役者って資格が要りません。自分が役者と名乗ってしまえば役者です。舞台上で挨拶をしているときに、「あなたは役者さんなんですよ」って認められたような気持ちになれたんですね。ものすごくうぶな20歳の自分が、「役者になったんだな」って思えた瞬間でした。でも、今でも自分が役者ですって言うことに対して、すごく照れくささはあるんですよ。
 先輩の方からしつこく言われたのが、役者は一年先の仕事が決まっているわけではない、ということ。決まっているとしても一ヶ月とか二か月くらいです。ですから、「今ある仕事を一生懸命やるしかない」――。それを口酸っぱく言われ続けていたんです。それが自分を保つためのモチベーションになっていると思いますね」


【番組INFO】
アクティブオーガニック「Be」presents「BeStyle」は、TBSラジオで、毎週土曜午前5時30分~6時にオンエア。radikoでも聴取可。詳しくはHPを参照。
https://www.tbsradio.jp/be/

また、当日の模様は、動画配信にて以下の「要潤公式チャンネル」からも視聴可能。
あなたの「なりたい」が見つかるかも――。
https://www.youtube.com/channel/UCkBTutqUvWTad0UHMAwieMg/community


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