山本直樹「自己満足だとしても、チャンピオンになれるなら自分はどうなってもいい」
ファイターとして、「チャンピオンになる」という目標以外に抱いている野望は?
「今の自分はとにかくベルトさえ獲れれば、なんでもいいんです。たとえその結果やめることになっても、死んでしまっても。自己満足でしかないですよね……、でもカネや名声などはそのあとについてくるものだと思っているし、結果が伴わないのにちやほやなんかされたくもない。ベルト以外の欲求は手に入れてから初めて出てくるものだと思います。逆にもしかしたらチャンピオンになれたらそれで燃え尽きちゃう可能性だってあるかもしれない(笑)。とはいえ、Krushのベルトの次はK-1のベルト、と言うふうに、次へ次へと向かっていく自分の姿が想像できますし、負けた相手には当然全員リベンジしたい気持ちも。そしてベルトに挑んでくる選手と戦うこともモチベーションになりますよね。30歳までにチャンピオンになるという目標は間に合わなかったので、30歳での獲得を目指していきます」
「こんなふうに見られたい」と意識していることはありますか?
「……なんじゃろ……。キャッチコピーの“秘めた大和魂”というのは自分に合っているとは思いますけど、秘めているもの、自分の個性をもっと出していきたいというのもありますね。実は個性のアピール方法についても最初に兄貴からアドバイスが結構あって。“あんま喋らんけど、喋り下手じゃけ、べつに喋らんでもええかもね”と。それで周りからは寡黙と言われる感じになっているのかなと思います。本当に喋れなくて済むならラクでいいと思ったんですけど、やっぱり会見など話す機会がすごく多くて、そうもいかないですからね。ちゃんと言葉で伝えられないようでは “何しに来たんじゃろ”と(笑)。でもうまく喋れない。もう少し事前に考えて臨むようにしなくてはいけないです。兄貴はYouTubeなども、よくあんなにぺらぺら喋れますよね(笑)。性格も真逆です。そういえば今は兄貴が怒ったりするイメージはあんまりないですけど以前は怒りっぽくて短気だった気がします。現役やめて丸くなったのかな(笑)」
目標に向かって練習に励む日々で、オフにはどんなふうにリセット?
「買い物。特に洋服が好きです。特定のブランドに決めていないのでぶらぶらとお店をまわって欲しいものをチョイスしています。ただ、本当はこのぶらぶらするというのもオフのときはあんまりしたくないというか(笑)、オフは基本的に体を休ませることに使いたい。自分は何の予定もなかったら1日中寝ていられるんで。だから欲しいものがあったら行動するし予定がなければ何もしないという感じで、身体のおもむくままにするのがオフのあり方ですね。それから甘いものが大好きなので、とくに試合後は暴飲暴食です。一番好きなのはショートケーキ! あとは音楽。音楽がないと死んでしまう。走りに行くときはテンションの高いEDMが聴きたいな、とか、気分やシチュエーションごとに選曲していて、ジムでかかっているBGMも、自分のプレイリストに換えちゃう(笑)。だから入場曲もすごく考えました。ただ自分はメロディー優先で音楽を聴くタイプなので、歌詞の意味とか考えることがなくて。自分が花道を歩くのに一番合うと思って選んだ入場曲(Zedd, Alessia Caraの“Stay”)は、周りに“なんであれにしたん?”って聞かれて。失恋について歌った曲だったことはその時に知りました(笑)」
20代半ばになって初めて上京を経験。さすがにもう慣れました?
「そうですね。標準語って、いいですよね……自分が話す場合、自分ではどれが広島弁か区別できなくて難しいんですけど。最初は男性が話しているのを聞いて弱々しく感じていましたけどね。怒っていても“女子か!”って。それくらい標準語はきれいだし優しいから、異性への価値観が変化したかもしれない(笑)。清潔感を求めるようになったというか。今では地元に帰った時に広島弁の女の子と会うと偉そうな話し方に聞こえちゃうんですよ。逆に東京の男性は広島弁の女子のことを可愛いと言ったりしますけどね」
女性観が変わるほど(笑)。では今はどんな女性がタイプ?
「きれい系が好きですね。よくある“好きな芸能人は?”の質問には、安室奈美恵さんと答えるようにしています。なんでも任せられて頼り甲斐がある年上の女性が好きです。やっぱり末っ子ですよね(笑)。それでも一応デートプランとか考えたりするんですけど、“相手のしたいことを優先したほうがいいのかな”とか、“相手に対して無駄に提案とかしないほうがいいのかな”とか、今は付き合い方に悩み中です(笑)。学生時代はスポーツばっかりで全然モテなかったですし。結婚願望も今のところありません。兄貴の家に行くと子どももいるし、こういう人生もアリかなあ、なんて思ったりもしますけどね」
秘めた大和魂 山本直樹
1990年5月23日生まれの30歳。広島県福山市出身。優弥道場所属。小学生からサッカーに打ち込み、高校もサッカーの特待生で進学。高校卒業後、就職するも23歳からキックボクシングを始め、2015年4月12日の「Krush.53」でのKAZUMU戦でプロデビュー。2017年には5連勝を記録し、2018年には「Krushスーパー・フェザー級次期挑戦者決定戦」に駒を進めるが、後に王者となる島野浩太朗に敗れる。2019年12月には待望のタイトル挑戦を果たすがレオナ・ペタスに敗戦。今年3月「Krush.112」の佐野天馬戦で勝利を収め再スタートを果たした。K-1・Krushで活躍した山本優弥は実兄。twitter:@y_naoki523
1990年5月23日生まれの30歳。広島県福山市出身。優弥道場所属。小学生からサッカーに打ち込み、高校もサッカーの特待生で進学。高校卒業後、就職するも23歳からキックボクシングを始め、2015年4月12日の「Krush.53」でのKAZUMU戦でプロデビュー。2017年には5連勝を記録し、2018年には「Krushスーパー・フェザー級次期挑戦者決定戦」に駒を進めるが、後に王者となる島野浩太朗に敗れる。2019年12月には待望のタイトル挑戦を果たすがレオナ・ペタスに敗戦。今年3月「Krush.112」の佐野天馬戦で勝利を収め再スタートを果たした。K-1・Krushで活躍した山本優弥は実兄。twitter:@y_naoki523