「婚活」コンビが考える、ウィズコロナ時代の家族と夫婦の”ディスタンス”
新しい生活様式における夫婦と家族のニューノーマル
さらに同調査では、コロナ禍で夫婦のある価値観にズレが生じていることも指摘した。男性の56.2%が「妻と一緒にいたい」と回答したことに対し、女性の53.5%は「夫と一定時間は離れていたい」と回答した。リモートワークによる新しい生活様式の中で生まれた、夫婦の価値観の差異といえる。
この差異を山田教授は「男性と女性の親密性に対する考え方の差である」と補足する。「多くの男性は、親密な女性にしか甘えられず、弱みを見せられない。それは母親だったり、キャバクラのキャストさんだったり、先輩だったりするものだけど、この状況の中では、妻となる女性にその甘えが一極集中してしまう。親密な女性には自分のことをもっと認めてほしい、ほめてもらいたいと思ってしまう。それに対して女性は、この甘えを分散させることができる。女子会で女同士で愚痴をこぼすことができたり、離れている母親にも悩みを相談できるので、男性の一極集中を重たく感じてしまう」のだという。
対する白河氏は「コロナ禍では、とにかく女性に家事の負担がかかっているということが分かっている。普段でも男性の5倍家事をしていると言われているのに、外出しづらい環境の中で、外食したりちょっと外でお惣菜を買ってくる、というわけにもいかず、しっかり3食作らなくなってしまい、料理の負担が増えている。それどころか、学校が休みになったことで子どもに割く時間も増えていることなどから、生活満足度が低下していることも起因している」と、女性の家事分担の偏りを指摘した。育児の分担も女性に偏ってしまうことが多く、子どもの感染症対策など、夫婦でしっかり話し合っていく必要がある。
未だ収束の見えない新型コロナ。すでに第二波が訪れており、秋からもまだ感染拡大が心配されている。これからの夫婦と家族は、ウイズコロナをどう生き抜いていけばいいのだろうか。
「とにかくこれからの夫婦は、チーム育児、チーム稼ぎ。チームなのだから、しっかり話し合っていくことが大事。これまでの男女役割分担のステレオタイプは捨てて、子どもも一員として全員でコミュニケーションを取ることが重要。震災や流行病など、大きな災害の後に人は重要なライフコースの決定をするもの。それができない夫婦には”コロナ離婚”が迫ってくる。腹を割ってゆっくり話し合うことが大事」と白河氏。
山田教授は「あまり直接夫婦で向き合わなくてもいいのではないか、というのが最近の見解。人同士の価値観は違って当たり前だと、そう思えるような絶妙な距離感が大事。お互いの価値観が一緒じゃないと、と思ってしまうと、必ずどちらかが合わせないといけなくなる。経済的にも精神的にも、お互いが依存しすぎないことも重要」と、白河氏とは別の視点から夫婦のディスタンスをフォローした。
これからの夫婦は、不景気をサバイブしていくためにも「チーム」として協力し合うことが重要である、というのが二人の総評だった。男は外で稼ぎ、女は家で家事をというステレオタイプな役割分担も、外出自粛とテレワークの普及でとうとう完全に崩れ去った。「コロナ離婚」しないためにも、今までサボってきた「話し合い」や「向き合い」にしっかり時間を使い、お互いの価値観と人生のロードマップをもう一度作り直すことが、これからの夫婦、家族に求められていくだろう。
(取材と文・ミクニシオリ)