宮沢氷魚と大鶴佐助の見えないモンスターと戦う舞台が開幕! 宮沢は上裸俳優記録を更新中?



 松尾スズキが初めて翻訳を手がけたことで注目を集めた絵本を舞台化。登場するのは2人の兵士で、それぞれたった1人で戦場の塹壕のなかで待ち耐えている。互いに見えない敵の存在を確かに感じつつ、敵への恐怖と疑心暗鬼にさいなまれていく。殺すか、殺されるか、お互いを「モンスター」だと信じ、自分が生きるためにも「殺す」ことに集中していき……。

 新型コロナウイルスの影響で演劇をはじめ、さまざまなエンターテインメントが公演の延期や中止を余儀なくされるなか、無事初日の幕が開く。

 宮沢は「今年の春に出ていた舞台『ピサロ』が10回で中止になってしまって、それ以来の作品なので楽しみでした。こういうご時世なのでちゃんと幕が上がるのか不安もありましたが、無事初日を迎えられてうれしい」。

 大鶴も「氷魚ちゃんと話してたんですけど、人がいるってちょっと違うなって。エネルギーをもらえるなって思いました。感慨深いものがあります」と、ほっとした表情を見せるも、「…あ、でもここからだ!(笑)」。

 ノゾエは自身が上演予定だった作品が次々になくなった。「この公演が今年初めての本番。ゲネプロでしたが人に見ていただくという機会得て、感慨深いものがありました。劇場というのは人が集まって息づかいが生まれてくるんだなと改めて感じることができてうれしかった」

 この舞台は、2016年に初演されて話題を集め、今回は再演となる。新型コロナウイルスの影響による外出自粛やステイホーム期間を体験したことで、新しい見方ができそう。

 ノゾエは、「この物語の”穴の中にひとりでいる”というのにすごくリンクする。4年前には普遍的なテーマというところで共感してもらえるのかなと思っていたんですが、この時期に(上演に)なって多くの方が似たような感覚でこの人物たちを見ていけるのではないか」と、ノゾエ。また「戦争が題材であるけどそれは設定に過ぎなくて、中身は今の僕らの生活と合致するようなものになっている」。
 
 「稽古は大変だった」と宮沢と大鶴。ただそれによって、自分が演劇が好きであること、稽古を積み重ねて作品を完成させることに喜びや楽しさを感じていることを再確認したという。

 宮沢と大鶴は公私にわたって親しく、互いを親友という。ただ、ノゾエとの稽古場ではお互いの知らなかった部分にも触れられたよう。

「氷魚ちゃんがこんなに打たれ強いとは。叩かれても立ち上がり、叩かれても立ち上がってというところを初めて見た」と大鶴。そのタフネスにはノゾエも驚いたよう。

 宮沢が気づいたのは大鶴の目。「これまで佐助の目を見て芝居をしたことがあまりなかったけど、最後のクライマックスのシーンではずっと目を見ていて、表情とか心情の変化だとか、目から感じるものがあった。普段会話しているときには出ない色だし、目の雰囲気でした」。

 取材会では、劇中の雨のシャワーシーンについて質問も。上半身、大鶴に至ってはかなり露出してのシーンだ。「(主催が)パルコの作品は、全部上を脱ぐんです。パルコのなかでは上裸俳優みたいな(笑)。その記録は更新中です」と、宮沢。

 23日まで同所で。21日にはライブ配信もある。開演は18時。