五輪パラの簡素化、削減額は300億円
第104回日本選手権の男子100メートル決勝で優勝を果たした桐生祥秀(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
陸上日本選手権で桐生が6年ぶり優勝
そうした中、五輪競技の日本選手権も再び動き出した。主要競技のうち先陣を切って開催された陸上日本選手権では2日、男子100メートル決勝で桐生祥秀が6年ぶりの優勝。向かい風0.2メートルの中、1位の桐生は10秒27、2位のケンブリッジ飛鳥はほぼ同着の10秒28、3位の小池祐貴は10秒30でフィニッシュ。100分の1秒差での大接戦の決勝レースとなった。
6年ぶり2度目の優勝を果たした桐生は「最後まで冷静に行けたのが今回の勝因かなと思う。タイムはまだまだだが、日本選手権でしっかり勝ち切って、優勝という癖をつけられたのは良かった。安定して9秒台が出せるようにしたい」とレースを振り返った。
陸上日本選手権は、東京五輪の代表選考を兼ねて当初6月25日から4日間、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で約3カ月延期され、会場を新潟・デンカビッグスワンスタジアムに移して10月1日から3日間開催された。
今大会では、大会前から選手や関係者の健康状態を管理するアプリを新たに投入したほか、会場の入り口に非接触型の自動検温システムを導入するなど感染症対策を徹底。その上で無観客にはせず、収容人数4万2300人のスタジアムで観客を新潟県在住者限定の2000人とし、密を避けての大会開催となった。
日本陸連の尾縣貢専務理事は、「私たちにとって、観客を入れての日本選手権は大きな挑戦だった。選手たちの勇姿によって、国民の皆さんの内向きだった気持ちを外に向けることができたとともに、スポーツの真価を感じていただける機会になったと信じている。このことは、五輪パラリンピックに必ず繋がる」と来年の大会開催を見据えた。五輪最終選考会となる日本選手権は来年6月に大阪で開かれる。感染症対策と大会開催の両立に向け、現場では試行錯誤が続く。