陸上 十種競技 右代啓祐『怪物』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己(2020年9月26日・27日 第104回日本陸上競技選手権大会・混成競技)
9月26日・27日の2日間、長野市で開催された陸上の日本選手権・混成競技。

本大会で圧倒的な存在感を放っていたのが、十種競技の日本記録保持者でアジアチャンピオンでもある右代啓祐だ。

十種競技は「走る・跳ぶ・投げる」の10種目※を2日間でこなし、その総合力を競う混成競技。
陸上競技の中でも最も過酷な競技といわれ、その勝者は“キング・オブ・アスリート”と称される。

しかし、私がファインダー越しに見た右代選手は“キング”を超えた“怪物”だった。

身長196cm、体重95kgの筋骨隆々な肉体と強靭な精神力で過酷な戦いに挑むその姿は、厳しくも強く美しい。
そしてもう一つ魅力的だったのが、競技中に時折見せる豪快な笑顔だ。

右代選手の故郷・北海道の“雄大な大地”を彷彿とさせる、厳しさを秘めつつも人を包み込むような優しい笑顔。

共に戦うライバルたちにもその笑顔で励まし、健闘を称える姿を何度も目にした。
過酷な競技であるが故に自らを鼓舞し、楽しみながら戦っているのだろう。

2日間の撮影を終え、すっかり“怪物”に魅了されてしまった私。
“もう一度撮影したい”そんな思いに駆られながらスタジアムを後にした。


※100m、400m、1500m、110mハードル、走幅跳、走高跳、棒高跳、砲丸投、円盤投、やり投げ。


■カメラマンプロフィル

撮影:西村尚己

1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑
戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか

★インスタグラム★
https://www.instagram.com/naoki_nishimura.aflosport/
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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