【インタビュー】北乃きい コロナ禍で気づいた喜劇の意味。 シェイクスピア作品で新たな境地を開拓
「できるかな」から「やりたい」に
「それからは見える景色が変わりました。今回の舞台はファンタジーなので初めはどうしようかと、正直思っていたんですが、でもそこを得てからは全く感情が変わって。なんでも腑に落ちるようになりました。これまでは非現実的なセリフや動きに自分の中で理由が必要だったものも、“これが演劇だ”と思えるようになって。外出自粛期間中で本当に変わりました。“演劇的なものも演じられるんだ”という喜びのほうが強くなりましたね。それまで不安だった“できるかな”が“やりたい”に変わっていきました」
多くの人がそうであったように、北乃にとっても転機となった2020年。新しい生活様式の中、舞台に立つことの意味を噛みしめていた。
「1人でも感染者が出てしまったら公演ができなくなってしまうので、無事に千秋楽を迎えるためにみんなで頑張っています。同じ目標に向かっているので、全く苦ではないです。今すごく芝居に集中しています」。
図らずもエンターテインメントと向き合う時間を得たことで、その意義や奥深さに触れた北乃。新たな境地を開拓した彼女は、舞台上でさらなる輝きを放つに違いない。
(TOKYO HEADLINE・丸山裕理)