伝説のホストがルポ『夢幻の街』作家にホストクラブの50年を語る

90年代からホストクラブの世界で生き抜いた2人の言葉は綺麗事ではない歌舞伎町の現実を伝える
 ホストクラブ独特の文化を「実際に取材すると、(ホストの)男子に対する目線がすごく大きいのが面白い」という石井に、森沢も「学園祭前の男子校の状態をずっと作っている店舗が這い上がっていく」と同調。手塚は「僕は葛藤があって、お客様の女性に対して何を提供できるかが僕らの仕事の社会的意義。常に入れ替わる学園祭の準備のために人生は賭けられない」と経営者としての本音を漏らす。

 コロナ禍が吹き荒れた歌舞伎町で「ロマンス」はいち早くクラスターを公表し、営業を自粛した。手塚は「あの時の対応が良かったから、区長と保健所が『官民一体で感染防止対策を』と言い出した。一方で『金を稼いだ奴が正義』という文化も歌舞伎町。実際に4〜5月にコロナは関係ないと営業を続けていた店はボロ儲けしてしまっている」と言い、森沢は「褒められた店は儲からなくて、褒められてない店が儲かるっていうね」と自嘲気味にこぼした。

 最後にこれからの展望を、手塚は「夢も希望もないけれど、一生懸命頑張っている奴らが自分たちの責任で稼いでくれればいい」。森沢は「ここまで業界を引っかき回してきたので、最後まで責任を取ってやろうと思う。この本を読んで、自分の店がやってきたことは間違いじゃなかったので、それを受け入れていこうかな」と語り、石井の「ホストクラブは好きですか?」の問いにも「大好きです」と笑顔で答え締めくくった。