「川越でジャズ映画」へと導いたヘルシンキの灯り【映画『リ、ライト』】


ヘルシンキの照明器具店の灯り。イメージが一気に降りてきた


「2005年に、ウクライナのキエフ国際映画祭に招待されたんですが、その時ストップオーバーで立ち寄ったのが、フィンランドのヘルシンキでした。夕暮れの街並みがとてもきれいだったので、バスの中でワクワクしながら外を眺めていたんですが、その時、光が外に溢れ出ている照明器具店が目に入ったんです。まさにファンタジーの国でした」と一ノ瀬監督。ふいに店のテーブルの奥に目をやると、つまらなそうな顔で店番をする若い男性が目に入ったといいます。

「その顔を見た時思ったんです。『訪問者の僕にとって素晴らしいこの街並みも、住んでいるこの人にとっては変わらないただの日常なんだなって。その時、ふいにイメージが降りてきたんですよ。その若い男性が気難しい爺さんに変わって、そこへ若い女が飛び込んでくる。そして『息子を出せ』と言う。爺さんは『息子なんかおらん』と返す。するとその娘が『あんたの息子の子どもがここにいるの』と喚く。ここまで一気にイメージできたので『これはいいものができる』と感じました。僕の場合、物語の設定を頭でこじつけてしまうことがあるのですが、この時は無理せず物語世界が開いたんです』。

 ヘルシンキで生まれたこの物語のかけらは、3年後の2008年には脚本に書き上げられ、サンダンス・NHK国際映像作家賞のグランプリ候補にも選ばれています。

「以来、ずっと撮りたいと温めていた脚本です。初めての長編映画はこの作品でと決めていました。何年も経ってから、縁あって川越と出会い、ヘルシンキと重ね合わせました」。

 川越との出会い、ジャズの話は、2回目のインタビューで深掘りしたいと思う。

 そしていよいよ、この11月15日に音楽映画「リ、ライト」がクランクイン。
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