「川越でジャズ映画」へと導いたヘルシンキの灯り【映画『リ、ライト』】


コロナ禍が続くこの時代だからこそ「集う」がテーマの音楽映画を


「撮影に向けて、粛々と準備を進めています」と笑顔で話す一ノ瀬監督。この映画で観る人のこころに残したいのは「集うことの大切さ」だといいます。

「今は人と人が気軽に集うこと自体が難しい状況ですが、『集う』ことこそ『生きる』ことだと伝えたい。『生きる』という本当の意味は、ご飯を食べるとか、代謝を循環させるとか、そういうことではなくて、人と一緒にいて、笑ったり喧嘩をしたりしながら、成長していくことでないでしょうか」。

この長編映画は、ジャズを主軸に置いています。確かにライブを含めて、人が集まって楽しむ音楽ですよね。監督の言う「生きる」を表現するものの一つとして、ジャズが使われるということなのでしょう。

「リ、ライト」は、消えてしまった藤吾という老人のこころに、再び灯りが灯る物語です。タイトルの「リ、ライト」は、文章のリライトではなく、Re(もう一度)- light(灯りが灯る)という意味。ここにも、監督の思いが隠れています。

「リとラの間の句読点がポイントです。句読点は、長い文章を読むためには欠かせない『道しるべ』。この映画では、無くしてしまったこころに灯りを灯す道しるべを表しています。老いた藤吾は、自分に二度と灯りはつかないと思っていますが、こころに灯りを灯すことで何度でも人生をやり直せる。そこを伝えたい」と作品への意欲を語ってくれました。

 次回は、主演の梅宮万紗子さんに、監督との出会いや、この映画の主人公・洋子を演じる上での思い、意気込みなどをお聞きしたいと思います!


【Profile】
映画監督 一ノ瀬晶
同志社大学文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科にて修士号取得。2006年、filmsitcを結成、制作した『聞こえる?」が「Short Short Film Festival & ASIA 2008」に入選。多くの海外映画祭に招待上映される。『聞こえる?』及び長篇脚本『灯影にて』で「サンダンス·NHK国際映像作家賞2008」のファイナリストに選出。
2014年、東京五輪開催のコアエリアにある亀戸地域活性化をコンセプトとした地域特化型短編映画『おそろい』を制作する。好きな映画はチャップリンの「街の灯」。喜劇の中でも、人と人が出会う「物語」が描かれていることに感銘を覚たという。
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