森会長が開会式の行進について「選手に一度話を聞いてみては」と提案

(Tokyo 2020公式ライブ配信より)

開会式のフィジカルディスタンスはどうなる


 このフィジカルディスタンスについては開閉会式が一番問題となるのだが、コーツ氏は「伝統をあまり変えたくないと思っている。全てのアスリートに開会式で行進の機会を与えたいと思っている。それは変えたくはない」としたうえで、その対策として「非常に迅速な検査をアスリートに対して選手村でやるとか定期的にやる。選手が安心できるように検査をするということだと思う。やはり検査が重要だと思う」と続けた。

 一方、森氏は「今度の大会の最大の関心事だと思っている。この議論は早くから始めている。我々が大会の簡素化を図ろうとなった時、最初に上がったテーマ。300億円を削ったが、簡素化を打ち出したのに何もやっていないじゃないかと言われる。これまでと違うなという評価を受けるとするなら開会式の行進ではないか。そこに私は非常にこだわりを持っている」と経費の節減の観点からと「単に選手が行進するだけでなく、待機の場所の問題もある。今想定されている場所では2メートルは難しい。時間も長い。その人数を考えると全体の総数はどうあるべきか。コーツ氏は選手にとって開会式で行進することは彼らの持つ特権で誰も奪うことはできないと言っている。私たちもそう思っている。しかし安全で安心な大会をやるためには、アスリートにもある程度我慢をしてもらわなければいけないところもあると思う。今までとは違ったものになると思うし、またそうすべきだと僕は思っている。一度、選手にも聞いてみたらどうかということも提案した。こういう時に世界のアスリートたちは“行進をさせろ。なにがなんでも開会式に出してくれ”という気持ちが本当にあるのかどうか。今までの経験から言うと、メダルや優勝を狙っている人はむしろ出ていない人が多かったと思う。特に開会式の直後に競技がある選手はあまり参加していない。そういうこともあるので、彼らはそういうことを考えているのかということも調査をしてみればどうかということを僕は提案している」と現実的な感染対策の両面からの意見を述べた。

 もっとも武藤氏によると、5者協議による論点整理の中には開閉会式の項目は入っていないという。森氏の提案というのはコーツ氏との会話の中である議論であり、5者協議等での方向性は出ていないという。
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