東京2020開閉会式の野村萬斎氏統括の演出チームを解散。佐々木宏氏が新たに総合統括に就任
総合統括に就任した佐々木宏氏(左から2人目)(Photo by Tokyo 2020)
佐々木氏「肥大した式典のイメージをがらっと変えるチャンス」
佐々木氏は「今はオリンピック・パラリンピックをやるべきではないという声もたくさんあるのは存じ上げているし、私自身も葛藤がある。偉そうに言うわけではないが、誰かがやらなければいけないという気持ち。状況としてはゼロから見直さないといけないものもたくさんある。あえて“コロナに打ち勝つ”という言い方はせずに、コロナがあったからこそ、新しい式典のアイデアが生まれたり、日本の伝統などをシンプルに受け止め、そのうえで華美な演出やサプライズといった形の、今までどんどん大きくなってきた式典のイメージをがらっと変えるチャンスではないかと私も感じている。野村さんには今後もアドバイザーとして見守っていただきたいと思っている。他の皆さんも含めて今後ともよろしくお願いしたいと思っている」などと語った。
そして「ただ中止するだけではなく、できるだけ努力をして、ここまで頑張ったということを世界に示すいいチャンスととらえ続けたい。そのために式典の演出などよりも、最後に“やらないよりやってよかった”と皆さんに思っていただけるところにどうやったらたどり着けるかということを考えたい。医療従事者などからは今、私が考えてるようなことは“それよりもやることはあるだろう”という声も聞こえてくる。しかしそういう中で、みんなが閉じこもってしまうような演出ではやる意味もないと思う。なにか突破口とか、希望の先に見えるものを表現できれば。今の段階で言えることはそんなところ」と新しい開閉会式の理念を語った。
佐々木氏はリオ五輪閉会式で行われた2020年東京五輪へのハンドオーバーの企画・制作を務め、今年8月に行われた「東京五輪1年前セレモニー」も担当。今回の選出について中村英正組織委ゲームズ・デリバリー・オフィサー(GDO)は「今年の夏の開催にむけては7人による緻密なレベルの高いものを作ってきたが、来年の夏に向けては、細かく緻密化というより、簡素化ということでやるものとやらないものを短期間で決めていかないといけない。その観点からは効率的な意思決定体制ににしなければということで7人ではなく1人にしようということになった。その1人が佐々木さんになったのは、他の人でもできないことはないとは思うが、組織としてコロナ後の在り方などを議論しながら、1年前式典をやった。組織委のメッセージがあそこに体現されている。開閉会式もその延長線上での議論。演出の中身は別として、簡素化、コロナ禍でのイベントの在り方としてはその延長線上ということから、どなたが適任かというととで佐々木さんになった。決して結論ありきではない」などと説明した。