まさに!エンドロールまで見逃すな!映画「名も無き世界のエンドロール」と“おじさん”!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。

 非常事態宣言が延長になったようで、まだまだ我慢の時間が続きます。

 やることがなくて困ったら、このコラムのバックナンバーを探っていただけると、すでにDVDになっていたり配信で見られるようになっている作品もあると思うので、ぜひいろいろな作品を見てあげてください。

 そして宣言が開けたらぜひ映画館で映画を! いや、映画館は別に今も行ってもいいんですけどね。

 では今週も始めましょう。
黒田勇樹
 岩田剛典くんと新田真剣佑くんがW主演の映画「名も無き世界のエンドロール」を観てきました。ストーリーは現代から始まり幼馴染の少年2人と、そこに現れた転校生のひとりの少女、3人の青春模様、現在や過去、少年時代、青年時代、また現在とモンタージュ的に時系列を行き来しながら進んでいきます。

「君の膵臓~」、もしくは「キッズリターン」の様な「淡くて切なく、危なっかしい青春劇なのかな?」と、思って観進めていくと、キャッチコピー通り「ラスト20分の真実。」ここまで公式にデカデカと書いてあるので「ミステリー的な要素がある」ということはネタバレして構わないと思うのですが、その種明かしに至るまでの“過程”が、凄い!

 メインの3人は皆、親を持たない子供たちなのですが少女に関しては「現在」が伏せられ、回想だけに登場。
 少年二人は実業家、裏社会へとそれぞれ足を踏み入れていくんでいくのですが、なんというんでしょう…。

 ストーリーの中に出てくる「社長になる」「裏社会に足を踏み入れる」とか、途中「戸籍を奪った」り「消された」り、大半の部分で「どういう方法を使ったか」は出てこず「頑張った」とか「裏社会だから」とか「権力は何でもできる」、10代の新人漫画家が投稿した少年漫画ばりに、薄っぺ…薄っぺ…。

ライト!

 そう!難しくなく!なんか、大学も出てないし、修羅場もくぐってない(そういう描写がない)2人がどんどん表社会と裏社会で偉くなっていく!そこの成長過程で勉強したり挫折したりの描写も一切なし!すぐ社長と裏稼業で実力を発揮し、周りの人のリアクションで「天才だ!」みたいなことで、どこがどう凄いかは放っておいて、ガツガツお話はラストへ。

 普通、ミステリー要素のある作品て、ある程度写実的な描写が必要なんですけど、この映画は実に“中二病”的に、その辺を大胆にカット!

 でも、それでいいんです。おじさんはもう、髪型で区別をしてくれているものの主役の2人の見わけもつかなくなり(だって、子役も含め3時代で全然見た目違うし!)。

 よくアイドルでも「メンバーの見分けがつかなくなったらファン引退」みたいに言うじゃないですか。

「ああ、これは“この2人の見分けがつく世代” に向けて作られたんだなぁ」
おじさん達みたいに「流石に政治家でも反社でもそんなこと出来ねぇだろ!」とか思わず、その世代の人たちへの“見やすさ”に重きを置かれてつくられたんだろうな、と想像しました。

 そして、ラスト、衝撃の20分が終わり流れ始める“エンドロール”
 タイトルにもなり、作中も非常に重要なセリフで語られる“エンドロール”
「この映画自体のエンドロールは“まさか普通にはやらんよな?”」と期待して観ていたところ、最後の最後に、想像以上の衝撃が。

 エンドロールが終わってもしばらく席を立たないでいて頂きたい。「是非、観て!」というよりは「観た人と、一晩語り合いたい」、そんな面白さの映画でした。
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