松坂桃李×仲野太賀が語る 「好き」と「青春」映画『あの頃。』で“オタク”気質を発揮!?


 今回演じた役どころさながら、ハロー!プロジェクトについて熱く語る2人。本作で松坂が演じるのは、原作者・劔樹人その人でもある主人公・劔。音楽の道に行き詰っていたときに松浦亜弥の存在を知ったことをきっかけに、熱狂的な“ハロプロオタク”との出会いと別れを経験していく姿を、“オタク”っぽさ全開で演じきる。一方の仲野が演じるのは、劔が出会う〈ハロプロあべの支部〉の一員であるコズミン。プライドが高くひねくれ者で、付き合いにくいことこの上ないが、劔たちにとっては大切な仲間。

松坂「劔さんは、実際に撮影現場によくいらっしゃっていて、僕も劔さんをじっくり観察することができたんです。見ていて、初めて会う人との距離を、まっすぐではなく左右から詰めていく感じが自分と似ているな、と思いました(笑)。役作りには、姿勢や動き方とか話し方、貧乏ゆすりなど、表面的なところもいろいろと反映させていただいたんですが、内面的な部分だと、基本的には優しくて穏やかなんだけど内心はけっこう毒づいたりする部分があるなと思って。僕の勝手な印象ですが(笑)。そういう面白さが、上手く投影できるといいなと思いながら演じていました。でも、毎日のように原作者が現場にいるってありがたくもありつつ、やっぱり緊張しますね」

仲野「僕も、コズミンとは表現の仕方は違えど、根本的な器の小ささは似ていると思います。あの何ともいえない器の小ささとか、マウントの取り方とか(笑)。なんであんなにヒドイ人なのに、どこか憎めない感じがあるんだろうと、というのは似ているというか、分かるなあ、と。演じていても楽しかったです。僕の場合は、劔さんの原作を読んだり、当時を知る方々のお話を聞いて役作りをしていきました。それで感じたのは、コズミンは、ものすごいコンプレックスを抱えている人で、同時にすごい自信家なところもある人だということ。自分は小物だということを自分が一番よく分かっている人で、でもそれを絶対に人に見せたくない。でも変なところですごい自信を持っていたりする。そのコンプレックスと自信が共存しているかたちがいびつというか、ヘンテコなんです。そこに愛おしさが出ればコズミンが出来上がるような気がして、そこはとくに意識して演じました」松坂「実際に〈恋愛研究会。〉(劔がハロプロあべの支部の仲間とノリで結成したバンド)の方々にもお会いしましたけど、その前に劔さんから伺っていた印象そのままの、個性豊かな面々で、とても面白かったです。原作に関わった方があれほどたくさん撮影現場に来ることもあまりないですし(笑)。こちらとしてもありがたかったし、本当に愛情深い方々だなと感じました」

仲野「僕は、彼らの愛情深さと同時に、その愛情の注ぎ方も好きなんです。普通ではないというか、イジリとかクサしたりとか、そこも笑いに代えてこそ、というスタイルが好きでした。後々、当時の思い出を語る人がコズミンのことを“僕は好きではなかったですね”とハッキリ言っていたり(笑)。やっぱりコズミン嫌われてたんだ…と、それも面白くて(笑)。映画は、物語なので自分が演じながら良い着地点に落とし込もうとすればできるんですけど、僕はそうではなく、コズミンってやっぱりイヤなヤツだなという部分もちゃんと演じたかった。それができたからこそ、すごく自由に演じることができたと思っています」