長州、天龍、武藤、小橋らレジェンドレスラーたちによる一夜限りのゲーム対決。今しかないぞ! 見るなら、今しかないぞ!
第1試合は藤原喜明&越中詩郎組を相手に、ボードゲーム『ゴブレットゴブラーズ』で熱戦を繰り広げる。3×3のマス盤面で戦う○×ゲーム(三目並べ)と似たゲームだが、ゴブレットには大・中・小と3つの駒のサイズがあるのがポイント。○×ゲームとは異なり、「一旦置いた駒の移動」と、コマの大小を生かした「被せ」(例えば相手の駒が「小」でマスを陣取っている場合、自分は中または大の駒を使うことで、「小」の上から被せる形でそのマスを抑えることができる)というルールがあるため、○×ゲームのように一筋縄ではいかない。空きマスにどのサイズを置くのか、相手がどのサイズの駒を残しているのか、などを念頭に置きながら陣取りをしていくため、想像以上に頭を使う。そんなゲームに、長州力、武藤敬司、藤原喜明、 越中詩郎が挑む。ナニコラ、タココラッ。
そして、第2試合は天⿓源⼀郎&⼩橋建太組を相手に、テレビゲーム『ストリートファイターⅡ』で対決する。何といっても注目は、⼩橋建太の参戦だろう。過去「TKJP」には、前田日明、スタン・ハンセンといった「まさか!」のサプライズが用意されていたが、今回で言えばこのメンバーの中に剛腕がいることが超サプライズだ。しかも、剛腕・小橋建太に指先だけしか使わせない『ストリートファイターⅡ』をプレイさせるという試み。これだから脳ベルSHOWはトンパチすぎる。そして、天龍源一郎の圧倒的存在感。この4人の並び、東京ドームのメインである。
新日VS全日の代理戦争とも言える『ストリートファイターⅡ』対決は、珍プレイ&奇跡のプレイの連続ゆえ刮目していただきたい。ネタバレになるため詳細は綴れないが、「噛め! ⻑州、噛めー!!」という掛け声が飛び交うほどの手に汗握る攻防は、地団駄が聞こえてくること必至だ。
第3試合は、駄菓⼦屋さんで⾒かけたゲーム『ファミリーボール』で蝶野正洋&船⽊誠勝組と対決する。この4人の凸凹は、一人だけ異様に冷静な船⽊誠勝の殺気を含めて、「TKJP」でもおなじみになりつつある。しかし今回は、ファミリーボール。勝手が違うため、妙に新鮮だ。
番組全体の演出を担当するディ・コンプレックス取締役・丸林徳昭ディレクターは、今回各ゲームをチョイスした理由を、次のように語る。
「プロレスラーの方々の豪快なキャラクター、および素の部分を引き出すことを目的に対決を選びました。ゆえにゲームは、①ルールが単純明快ですぐに夢中になれるもの、②ビジュアル的にプロレスラーとギャップ(違和感)があるもの、③見ている視聴者の方が年代問わず楽しめるもの。これらの要素を持つものを選びました」
さらに、11時間テレビで「TKJP」が生まれた背景も意外な理由からだった。
「クイズ以外に昭和というものを強く打ち出していくうえで、昭和のプロレスラーの方々で1コーナーを作ろうと思いました。レジェンドレスラーが集まったときに、『何を見たいのか?』とプロレス好きのスタッフたちと話し合った結果、たどり着いたのが『試合がむずかしいなら、せめてカッコいい入場が見たい』というものでした。なので、当初は入場ありきでリングを発注し、あとから企画を考えました」
瓢箪から駒ではないが、まさか入場ありきだったとは! 「無茶苦茶カッコよかったレスラーたちが、ピコピコハンマーを持って夢中になって戦っている姿は、入場とのギャップ(違和感)もあり、面白くなるのではないか」、そう考え「TKJP」は開催されたという。プロレス愛が伝わるだけでなく、レスラーの魅力を引き出す、微に入り細を穿つ番組作りも脳ベルファンはチェックしていただきたい。
ボールを途中の⽳に落とさないようにゴールまで運ぶ『ファミリーボール』は、レスラーたちの繊細さを引き出すギャップも相成って、こちらも白熱の展開に。途中、というか、三番勝負すべてに言えることだが、突如としてMyルールをぶち上げる長州力の理不尽な要求(現場責任者だった平田を突如解雇したときのような)も大きな見どころだ。
各種ゲーム対決の後には、「クイズ!脳ベルSHOW」で⼈気の“すごろく⼤逆転”にも挑戦する。堀田眞三、こまどり姉妹といった脳ベルファミリーがエキセントリックなクイズを出題する様子も、安定の面白さだ。さらには、「脳ベルプロレスリング応援団」として駆けつけた神奈⽉、ユリオカ超特Q、ハチミツ⼆郎らによるモノマネクイズも、脳ベル仕様に仕上がっている。BSフジでしか見られないものが目白押しだ。どうやったらこんなに濃いものを作れるんだというくらいに、濃い。
「お前らは見ないのか? 今しかないぞ! 俺たちには!」。心の底からそう言いたくなる『クイズ!脳ベルSHOW特別編脳ベルプロレスリング』。見終わった後、プロレスラーへのリスペクトが止まらない。一人でも多くの視聴者に、歴史の証人になっていただきたい。
(取材と文・我妻弘崇)