〈インタビュー〉青木真也の思う自らの強さの秘密「限りがあること、自分の手持ちの武器、自分の弱さを知っていること」【4・29 ONE】
「格闘技が好きなので、ずっとやっていたいと思っている」
--現在37歳。「そろそろ」とか「終わりが」という言葉が自らの書く文にも出てくるようになっている。格闘家にとっての年齢とは?
「限りですよね、単純にいうと限りがあるということですよね」
--その「限り」というものは自分で設定するもの?
「なのかな? でも終わりについては何歳までとは決められていないじゃないですか。極論を言えば、自分がやり続ければできる。だからその選手が格闘技とどう向き合っているかということで大きく分かれる気はしますけどね」
--青木さんの場合は? お呼びのかからなくなった時がという線の引き方?
「僕の場合、ここまでそれなりに頑張ってきて、それなりに立ち位置があると、多分ずっと声はかかり続けるんです。条件さえ下げ続ければですけど。キングカズがいいことを言っていたんです。それは“昔高くつかんだ人は今どれだけ下げられるかだから、要は納得するまでやればいい”といった内容のことなんですが、僕も結局これをやるのが好きなので、ずっとやっていたいなと思います」
--あとは続けられなくなるような大きなケガをしてしまうとかそういう事情しか?
「ないかな。これ以上の面白いものってないですから」
青木は昨年、出版した『距離思考 曖昧な関係で生きる方法』という著書の中で「格闘技をやめたらプロレスもやめる。格闘技の解説もやめる」と書いていた。
--プロレスは年齢を重ねてこそという部分もあると思うのですが…。
「格闘技をやめるというのは試合をしなくなることではなく、格闘技者として、自分を鍛錬して追求しなくなった時という意味です。僕は試合をしなくても、ずっと練習しますよ。好きだから。僕の理屈は“格闘技もプロレスも同じだ”というところから成り立っているから説得力がある。だからこそ、やっぱり両方をやり続けたいと思っています。プロレスはプロレスで深さというか面白さもあるし、やりたいこともまだまだあるので」
--ここまでの話を聞いたうえで改めてなんですが、青木真也の強さって?
「限りがあることとか、自分の手持ちの武器や自分の弱さを知っていることじゃないですかね。ウイークポイントとか、こうなったらダメだということを分かっている」
--自分がそういった弱さのようなことに気づいた、自覚したのはいつ?
「僕は前から自分の弱い場所は分かっています。だから組み立て方は自分が一番よく知っているつもりだし」
--前からというのはトップクラスの選手に上がる前から?
「はい。賢いというのもなんですけど、僕は戦略がある選手だし、分かっているつもりです」
--分かっていない選手と分かっている青木選手との差とは?
「練習の取り組みから試合の運びからすべて自分の立ち位置を理解しますからね」
--対戦相手が代わっても動じないのはここにつながる?
「自分の軸がしっかりしているみたいなことですよね。でも今は自分の立ち位置とかを分かっていない人が多いですよね。格闘技に限らずいろいろ含めてですけど。僕は“わきまえる”という言葉を使うんですけど。わきまえない奴とか、役者の格とかを分からない奴が多いかなと思います」