小澤雄太、新たな演技で“本物”の俳優へ。伝説の公演『ピサロ』がアンコール上演!

小澤雄太(撮影・小黒冴夏)

 実力派キャストとの共演も見どころだ。

「渡辺謙さんはやはり憧れですね。僕は昔からちょっと変わった役柄が好きで、『アンパンマン』だとバイキンマン、『ルパン三世』だと銭形警部など、脇を固める役どころが好きなんです。その中でも印象に残っているのが、小学生の時に見たドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で警部役を演じた渡辺謙さん。警部だけど人間らしさがあったり、コメディー要素があったりと、作品を面白くするためにいる脇役の方々の活躍に魅せられたんです。小学生の時から見ていた人とご一緒できる機会をいただけて、本当に幸せです」

 脇役に魅せられる理由はどんなところか。

「そうですね。僕は主演は“結果”だと思っています。脇役で評価された人、作品をより良くする事を知っている人が結果、主役を張っている。そうやって本物感がある人はいなくならないと思うんですね。僕もそこを目指しているという点では、謙さんはやはり憧れの人。稽古では、吸収できるものを吸収したいですし、これまでの謙さんのイメージではなく、人として惹かれるものもぜひ感じたいなと思っています」

 昨年35歳の節目を迎えた小澤。自身の演技の幅を広げたいとチャレンジする。

「これまでいろいろな事をやってみようと、“足し算”を意識しましたが、今回は“引き算”をテーマにしています。たとえば、怒るシーンにしても、ただ怒鳴るのではなく、引き算をしていくとどうなるのか。喜びも万歳だけじゃない、かみ締める喜びもある。余計なものを削ぎ落としながら、人の心に届く、濃いお芝居をする作業をしたいと思っています。そういう意味で、本作では、引き算が上手い方々がたくさん出演するんですね。映像でも舞台でも活躍されている、いわゆる大御所の方々です。今まで培ってこられた皆さんとの稽古で、自分に合うテクニックをインプットして、アウトプットする作業ができればうれしいです」

 最後に、読者にメッセージ。

「『ピサロ』は歴史が変わる瞬間を描いていますが、同じように今、歴史が変わるときなのかなと思います。“時代を乗り越える”ということは、僕らが生きていく以上、やっていかなくてはいけないこと。きっと良いことばかりではなくて、辛いことや面倒くさいこともあって、乗り越えられるものだと思う。この作品ではそういった部分を描いているので、“明日からまた頑張ろう”と思っていただけるはず。ぜひ劇場に元気をもらいに来ていただけたらうれしいです」       

(TOKYO HEADLINE・丸山裕理)