緊急事態宣言延長も「人流の減少という初期の目的は達成できた」と菅首相

緊急事態宣言中、20時以降のネオンの消灯を要請された渋谷の風景

大規模イベントは無観客から5000人以内または収容定員の50%以下へ緩和

 しかしこれらの転換された方針についての運用は自治体に任せられた。

 菅首相の会見の後に行った会見で東京都の小池百合子知事は「特措法に基づいて引き続き1000平方メートルを超える百貨店やショッピングセンターなどの商業施設、ゲームセンターなどの遊技場、体育館などの運動施設などについては都独自の施策として引き続き休業を要請する」と休業要請を継続。スポーツや音楽イベントについては政府同様、無観客から5000人以内または収容定員の50%以下の少ないほうと緩和した。

 大型商業施設の措置については、判断を自治体に委ねることで、政府から責任を押し付けられた形にもなったが、この状況について小池氏は「自治体は現場を預かっている。自治体としての感染対策を徹底していく表れとして、都としての考え方を示した。国とも協議のうえ、この措置を決めた。これからも現場監督として努めていきたい」と語った。

 また解除基準について菅首相は「基本的対処方針にも書かれている通り、ステージ4を脱却することが目安となるが、具体的には専門家や自治体の意見も聞きながら総合的に判断していきたい」とこれまでと変わらず具体的な数字を示すことなく“総合的な判断”という玉虫色の表現。

 その一方で会見に同席した政府分科会の尾身茂会長は「ステージ3(感染急増段階)に入り、しかも、ステージ2(感染漸増)のほうに、安定的な下降傾向が認められていることが非常に重要」とよりシビアな基準を示した。そして「解除にあたっては医療状況の逼迫というものが改善されているということが重要。それから、今回は明らかに変異株の影響というのが、前回に比べて極めて重要な要素になっている。今回はいずれ解除するときには、今まで以上に慎重にやる必要があると思います」とより具体的な事例を示した。

 菅首相はメディアとの質疑での中で東京オリンピック・パラリンピックについて「IOCが中止を判断しない限り、日本政府として開催に向けた取り組みを続ける立場は変わらないのか?」と問われると「まずは現在の感染拡大、防止に全力を投入していく。東京大会の開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり行っていく。そして、国民の命と健康を守っていく」と答えた。

<<< 1 2