中村勘九郎「お客様の心の栄養になるように」コクーン歌舞伎が12日開幕
左から、勘九郎、長三郎、七之助
本作には、勘九郎の次男の長三郎も出演する。長三郎がコクーン歌舞伎に出演するのは初めて。彼の反応について聞かれた勘九郎は「毎日空間を楽しんでいる姿を見て、いい経験なんだなと思いました。“なんでもいいよ、なんでもやって”っていう演出を受けたっていうことが彼の後々の人生にプラスになっていくと思いますし、いろんなことを吸収して、楽しんで、舞台空間に存在している。親としてもうれしいですね」
『夏祭浪花鑑』は浪花の市井の人々の姿を描く。勘九郎は「義理人情がすごく薄まっている時代に何かはっと思わせてくれるような作品」と、かみしめる。
「この作品は自分のためじゃなく人のために動いている人たちのお話で、これは愛だなと思っています。心の底から、腹の底から、人のために動物的に動ける人たちの、悲しくもあり、こういうふうに生きなければならないと熱い魂の話」と、七之助。
「絆とか人とのつながりを感じる」と、松也。「血がつながっているわけでもないのに、絆ですとか支え合いでつながっていける、信じあえる、愛しあえるというのは、こういう状況下だからこそ、僕たちが命がけでやらなければいけないこと。お客様にも感じてもらえるところがあると思う」と、話した。
コクーン歌舞伎は、演出の串田と十八世中村勘三郎がタッグを組んで1994年に誕生した歌舞伎公演。古典歌舞伎の新たな読み直し、現代に重ね合わせた新しい解釈による演出で、話題も人気も集め、歌舞伎はもちろん、演劇の歴史にも、その名を刻んでいる。
30日まで、Bunkamuraシアターコクーンで。