岡田監督、MIYAVI、別所哲也…各界のスペシャリストが語るデジタルの“今”「デロイト デジタル ウィーク」
デジタルエージェンシー「Deloitte Digital」初のオンラインセミナー「Deloitte Digital Week」が5月17〜21日に行われた。デジタルと人間らしさの融合を目指す「Hello New」というテーマのもと、各分野で活躍するトップランナーをゲストに迎え、5日間にわたり合計20のトークセッションを開催。1回限りの貴重なライブ配信を見逃してしまった方のために、特に話題となったセッションをダイジェストでお届けする。
1日目 岡田武史氏「デジタル化はとめちゃいけないけど、そこに心がないと」
全セッションのスタートとなる1日目「Deloitte Digital “Purpose”」のセッション1「Hello New」は、元サッカー日本代表監督で現在はFC今治オーナーの岡田武史氏をゲストに迎え、スピーカーの佐瀬真人氏(デロイト トーマツ コンサルティング代表執行役社長)が経営に対する考え方を聞いた。
岡田氏は、進行中の新スタジアム計画「里山スタジアム」のコンセプトを「僕が考えたストーリーはバリ・ヒーリング・ビレッジ(=今治の癒す村)。人間の幸せはAIによって失敗しないことではなく、困難を乗り越えて成長したり絆ができたり、もうひとつの幸せも必要」と披露。佐瀬氏はパートナー企業の立場から「いかに誠実性をもって世の中をデザインしていくのか。間違った思想のもとにデザインすれば間違った世界ができていく」と語る。
「コロナ禍で、絵であり音楽でありスポーツであり、お金に換算できない豊かさが大切だということに皆さんが気づき始めたような気がします」という岡田氏。最後に「デジタルはこれからも絶対に進んでいくし、とめちゃいけないんですけどそこに心がないと。ウィズハートですね」と今後の5日間を予感させる言葉で締めくくった。
2日目「Hello New “Education”」のセッション1「SDGs教材がめざす課題解決能力の育成」は、ゲストに朝日透氏(早稲田大学理工学術院教授、グローバル科学知融合研究所所長)、小宮山利恵子氏(スタディサプリ教育AI研究所所長、東京学芸大学大学院准教授)、スピーカーに河野慎哉氏(デロイト トーマツ コンサルティングアソシエイトディレクター)。
日本のICT(情報通信技術)教育の現状を「コロナ禍という困難な課題が出てきたことで、今まで進まなかったオンライン化が一気に進むきっかけとなった」という朝日氏。デジタル化が進むことで注目される教育分野について、小宮山氏が「先がどうなるか分からない社会では、全員がアントレプレナーシップ(起業家精神)というマインドを持たなければいけない」と語ると、朝日氏も「一人では解決できない課題に対し、多様性のある人材がチームで取り組むことでより良い解が得られる。そうした教育もアントレプレナーシップから生まれるのではないか」と同調した。
Deloitte Digitalと早稲田大学が共同開発するSDGs教材に話が及ぶと「(学生の方に)コンサルティングで使うフレームワークを伝えているが、なかなかスキルとして実践してもらえない。道具を知っていても使い方が分からないと成果は出せないので、実践しながらトライ&エラーを繰り返すことが大切で、フレームワークの上で知恵を出し合うことで早くスキルが身につく」と河野氏。
課題解決能力を身につける教育について、小宮山氏は「考える時間、失敗できる環境、ダンスフロア(踊る場)とバルコニー(俯瞰する場)の行き来が重要」、朝日氏は「進取(自ら進んで困難な課題に取り組む)力、俯瞰力、専門力を身につけること」とキーワードを挙げる。さらに、授業時間で子どもたちの興味や行動を引き出すには、という問いに朝日氏が「失敗しないよう求めていくことと同時に、失敗を繰り返しながらそれが楽しいことなんだと教えることも大事」、小宮山氏が「枠を設けるだけで内容は子どもたち自身に考えてもらう。そのテーマが日常に結びついていることも重要」とそれぞれ提言した。